悪魔がウチにおりまして・387
ウチには悪魔がいる。
目にハイライトの消えた悪魔が。
「ニンゲン、ボクは世界を滅ぼすことを決めました」
「ふーん」
私のそっけないリアクションに悪魔がぶわっと涙を流す。
「ニンゲン!あなたは悪魔ですか!」
「ニンゲンって呼んだじゃない」
「違うのですー、ニンゲンのバカー」
ついにわんわんと泣き出してしまう悪魔。
なんでそんなに情緒不安定なのよ。
「おや?どうしたんですか?構って欲しい時にあしざまにあしらわれて余計に寂しくなったみたいな泣き方をして」
羊登場、そしてメタい発現するな。
「ニンゲンがひどいのです、悪魔なのです」
「ミミ君、それを言い出したら私たちの尊厳無くなります」
羊、さすがにたしなめるのね。
「このもこもこー。けむくじゃらー」
悪魔は2度泣く。
あんたも毛まみれだろうに。
「ニンゲンさん、どうしましょう。埋めます?」
羊さん、それは過激でしょう。
「ほら、いちごみるくあげるから」
あんたにじゃないよ、うぱ。
「ストローもー」
はっ倒すぞ。
「仕方ありませんね、紙ストローならありますよ」
羊、地味な嫌がらせはやめなさい。
「で、悪魔。ことと次第じゃ今夜ブロッコリードレッシング無しよ?」
「それは口の中がもそもそになります」
「ニンゲンさん、ブロッコリー好きな人に失礼では?」
いくら好きな人でもマヨくらい付けるからセーフでしょ。
「実は大切な物落としまして」
「大切な物?」
「天使ちゃんと悪魔くんのアクキーです」
マジで懐かしすぎてなんのことかと思ったけど、アレか。
昔見た映画のあれか。
「ノベルティだからもう手に入らないんだっけ?」
「再販されているのですが」
コケそうになるが、すんでのところでブレーキ。
「なら、買い直しなさい」
「嫌です、ニンゲンと一緒に見たアクキーなのですー……」
……こういうところ、ムカつくよなぁ。
「どこらへんで落としたのよ」
「ほえ?」
「泣いてるくらいなら探しに行く。手伝うから」
「ニンゲンー!」
抱き着くな、うっとうしい。
ウチにはアクキーがあった。
「悪魔?」
「えっとー?お外にあったはずなんですけどー?」
ブロッコリー、買いにいかないと。




