悪魔がウチにおりまして・385
ウチには
『ニンゲンー!取ってほしいですー!』
カボチャ頭がいた。
カボチャ頭、それは人を罵る時に使う言葉らしいが、相手が悪魔であること、そして本当に頭の部分がカボチャであることを考えて今回はセーフでしょう。
『セーフじゃないです!』
「狐ちゃん、これどういう状況?」
のんびりお茶をすすっている狐に尋ねると、大きくため息を吐く。
「某は止めたのです、ですが……」
狐が言うには、今日のハロウィンのコスプレとして悪魔がジャック・オー・ランタンをやるためにカボチャを頭にかぶろうとした。
被った。ハマった。
以上らしい。
「もはやツッコむ気にもならないんだけど」
「某も放っておいていいと思います」
『ヒドイ!息ができなくなったらどうするですか!あまい!』
なんか中でバリバリ音を立てている。
食ってんじゃないわよ。
「ボクの畑にわざわざカボチャを取りに来たと思ったら……」
モグラが出てきてため息を吐いている。
そりゃ自分の育てた野菜を頭にハメたヤツ見たら呆れもするわね。
『その声はぽんちゃん!このカボチャ、美味しいです!』
今伝えるべきはそこじゃない!
いけない、突っ込むべきではなかった。
「当然です、そのカボチャは藩譜琴……。我が畑で品種改良を重ねた逸品です」
このモグラ、侮りがたし。
『それはそうと!誰か取って下さーい』
カシャ!
『誰が写真撮れって言ったですー!』
「広報に使える気がします。かぶりつくほど美味しいカボチャ」
肖像権は大丈夫なのかしら。
「ミミちゃん、モデル代3,000円で良いですか?」
『安くない!?そうじゃなく外して欲しいですー!』
仕方ないなぁ。
なぜかあった、ご都合主義のノミと木づち。
手に取って振りかぶるとカボチャに目を塞がれているはずの悪魔が必死に避ける。
『この気配はニンゲン!?何をするですか!?』
「こうなったら割るしかなくない?」
『ニンゲンだと実に届きそうなので嫌です!』
うん、まぁ悪魔だからノミくらいなら平気かなって。
「ニンゲン殿、放っておきません?たまにはいい薬かと」
『ごんちゃん!?ひどいですー!』
「某なにも言ってませんよ!?」
でも確かに狐の声色だったよね……あ。
「こんなアホ放っておいて、ハロウィンのお菓子をわけましょ……あ」
羊が声色を変えて狐の後ろから声を出していた。
とりあえずハロウィンです。
悪魔は口周りだけカボチャを食って貫通しました。




