悪魔がウチにおりまして・381
ウチでは焚火をしている。
こんなところでやっていいのかは知らない。
「問題ありません。イモのほうが重要です」
これ言ったの、悪魔だと思うじゃない?
違うの、狐。
まぁ、ビルオーナーが焚火を許可しているなら問題ないよね。
「本日のおイモ提供はぽんちゃんです」
「ウチのイモを堪能する会と聞きまして」
あー、そういう趣旨?
「皆のモノー!腹を空かせてきたかー!」
『おー!』
テンションがおかしい!?
「20分前には焚火の中にイモを新聞紙とアルミホイルにくるんで沈めてあります。イモを全て巻いてくれたのはクモちゃんです、拍手!」
わぁっと歓声が巻き起こる。
ノリがいいなぁ、みんな。
「ニンゲン!ちゃんと拍手するです!おイモ食べられなくてよいのですか?」
なんで若干恐怖政治なんだよ。
「静粛に」
モグラ、拍手を治める。
「今回、いの一番に食べる名誉はもちろんクモちゃんに捧げたいと思います。異議のある者!」
『ありませーん』
平和だなぁ。
「では、クモちゃん!前へ!」
クモ、おっかなびっくり前に進む。
周囲を見て自分ので良いのか不安そうな本体と、今にも火に飛び込みそうな子グモ。
燃えるから!
クモ、挙手。モグラ、クモに耳をそばだてる。
「良いのですよ、クモちゃん。皆の手を見てください。新聞とアルミを巻くのにどれほど労力が必要と思いますか?クモちゃんは13番目の難行を越えた勇者なのです」
そんなにじゃないでしょー。
クモは感動したのか、震えている。
「勇者に!再びの拍手を!」
わぁっと拍手が巻き起こる。
モグラ、演説上手いなぁ。なんか羊泣いてるし。
「いえね、年を取ると涙腺が弱くなりまして……」
そこまでのことかなぁ。
「さぁ勇者よ、この素晴らしき味わいを……」
クモが恭しくモグラにかしずく。
そしてすっごいフーフーしたのち、ひと口ぱくり。
飛び上がるクモ、満足げなモグラ。
「では皆のモノ、至宝の食卓へ……」
あがる歓声、戸惑う私。
こいつらの声が周囲に聞こえなくてよかったよ。
ウチではイモパーティが催されている。
イモは、本当に絶品でした。
「100グラム、700円で…「売るんじゃないよ」




