悪魔がウチにおりまして・379
ウチには……。
『メノー?おウチ無くなってるんだけどー?』
やば、お姉に伝えるの忘れてた。
「久しぶりにメノの家行ったら何もなくて驚いたわよぉ」
そういえばお姉と会うのどれくらいぶりだろうか。
「えっとぉ、確か彗星龍の件が260くらいだからぁ」
やめろぉ!?訳のわかる数字を言うな!?
「そんなことよりどこに行っていたのよ」
「それはもういろいろと。コレお土産のお肉よ」
お姉はドンっと塊の肉をテーブルに置く。
ねぇ、なんの肉?
「ニンゲン姉、コレなんの肉ですー?食べられるですー?」
「美味しいわよー?でもしっかり焼かないとげど……当たるかもしれないけどー」
ねぇ!なんの肉!?
「それより、私がいない間平和だった?」
「それがですねぇ」
悪魔はお姉に耳打ちをする。
関心深そうに頷くお姉。
「まさか、私がいない間にたけのこときのこで戦争が……」
無いから!
本当に起きそうな戦争話はやめて!?
「おや、執行者さん、ちーっす」
軽い調子で牛が紛れ込む。
「あら、テールスープ久しぶりねぇ」
「あだ名のほうが長くなるのって不合理だと思いません?」
ツッコミがなんとなく明後日の方向なんだよ。
悪魔のように最近起こった出来事を尋ねる。
今度はみるみる眉をひそめていく。
「羊と神が結婚?そんな今日は4月1日じゃないんだけど?」
そっちは本当だよ!
「知ってました?神ちゃんメシマズ嫁なんです」
「そんな世界嫌だわー。無理な設定でお話盛ろうとしてもつまらないよ?」
やめてあげて!
なにかが崩壊した音したから!
「それより、土産。アンタなら調理できるでしょう?」
「毒抜き済んでますー?」
しっかり毒って言ったよ、この牛!
「毒なのですか!?そんなモノ食べられません!」
珍しく悪魔が腕を組む。
「済んでるわよー。この子いらないみたいだから、ひとり分増えるわねぇ」
「ニンゲン!あなたの姉は極悪なのです!」
本人に言え、目の前に居るんだし。
「そんなこと言って、どれほどのしっぺ返しが来るとお思いですか?もう専務に反省文書かされるのはイヤなのです」
そこ、ホットラインあるのかよ。
「無いわよ、さすがに。閻魔とは繋がってるけど」
それもそれなんだよなぁ。
ウチにはお姉がいる。
お肉は、美味しかった。怖くて何肉かは聞けなかったけど。




