悪魔がウチにおりまして・370
ウチには悪魔がいる。
あなたの秋は、なんの秋?
「ニンゲン!今度運動会があるのでお弁当作ってほしいのです!」
「アンタの会社、運動会あるの?」
社会人にハズよね?
「こっちにもあるって聞きましたよ?ボクたちの世界より平和って話ですけど」
平和?
「なに?そっちの運動会ってそんなに危ない競技でもあるの?」
悪魔は大きく首を振る。
「内容はそんなに違わないらしいのですが。ただ、予算が」
確かにこっちの運動会なんてお遊びだからそんなにお金かかってないからなぁ。
「そんな豪華な運動会、うらやましいかもね」
自分が出たいとは全く思わないけど。
「豪華……?あー違います。ボクたちの会社、運動会で来年の予算が決まるんです」
ふざけてるの?
「え?それ、負けたら予算0?」
再び首を振る。
「さすがにそれをしたらみんなブチ切れるので。逆なんです。普通の予算が順位で倍々に」
えぐくないっすか?
「ちなみに1位だとどれくらい増えるの?」
「たしか10倍ですかねー」
その仕組み作ったヤツ、アホなの?
「じゅ、じうばい?」
「そのせいでみんな目を血走らせてパン食い競争とか、騎馬戦とかやるんです」
まさに地獄の運動会じゃない。
「そんな大会でごはん食べてる余裕あるの?」
悪魔の世界の運動場で累々しているビジョンしか見えないんですけど。
「それがですねー。怪我させてしまった時点でその競技で点数取れないんです」
妙なところクリーンだね!?
「その昔、運動会当日にケガがたくさんあったらしくて。不思議なこともあるものです」
それ、絶対に妨害だよ!
「ち、ちなみにお弁当は何が食べたいの?」
「から揚げと卵焼き、ウインナーはタコさんが嬉しいですー!」
ド定番過ぎて笑うんだけど。
「ちゃんと作ってあげるから。ケガさせないようにね?」
「合点ですー!」
「ニンゲンー……」
運動会当日、悪魔は泣きながら帰ってきた。
「どうしたの?負けちゃった?」
「お弁当、みんなに取られましたー……」
「余ってるから、お食べ?」
ウチには悪魔がいる。
から揚げをいとおしそうに食べる悪魔が。




