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悪魔がウチにおりまして・356

ウチにはおにぎりがある。

加減というものを知らないおにぎりが。


いや、違う。

おにぎりに罪はない。

おにぎったウチの阿呆たちに罪がある。

「ニンゲン、今日の晩ごはんはなんですかー?」

「おにぎり」

「明日の朝ごはんはなんですかー?」

「おにぎり」

「お弁当はなんですかー?」

「おにぎり」

「ニンゲン、3分で食べられるラーメンは?」

「カップ麺……なんの質問?」

悪魔は虚ろな目で軽くのけ反った。

「おにぎりしか喋れなくなったかと思って確認しましたー」

おにぎり生活既に3日なのでおにぎりをもう食べたくない気持ちはすごくわかる。

「でも、もったいないでしょう?」

というか冷蔵庫と冷凍室にみっちり詰まったおにぎり消化しないと邪魔なのよ。

「ニンゲン?コメはおかずと一緒に食べるものですよ?なんでおにぎりしかないのですか?たくあんは?ウインナーは?じゃりじゃりする卵焼きは無いのですか?」

その卵焼きは砂糖を入れすぎてるから我が食卓に上がることは永劫ありません。

「そんなおかずなんか食べたらおにぎり食べられなくなるでしょう?」

「ニンゲンはいつからおコメ神に宗教替えしたのです?」

「アンタらが握るの楽しんで一俵まるっとおにぎりにしてからです」

炊く前の60キロ、全部炊いて握ったら何個できたのか、数えるのやめたよね。

「ご近所におすそ分けしたらいいじゃないですか、すぐですよ、すぐ」

その隣近所、身内しかいなくて逃げられてるんだよ。

「文字が選りすぐった食材、無下にすることまかりなりません」

グダグダ文句を言う悪魔に狐がぴしゃりと言い咎める。

「ごんちゃんはくたくたに煮たあぶらげ食べたくないのですか?そろそろサトイモの煮っころがしも美味しい季節ですよ」

狐の口先からよだれが垂れている。

「……そも、なんでいっぺんに炊いたのです?」

こっちを見るなー。アンタらが楽しそうに握って炊くこと要求したんだろー?

「しかたないなぁ、今日は別の料理にしましょ」

『やったー!』

クモとうぱまでバンザイしてる、だと!?


夕食の時間になる。

「ニンゲン、悪魔を騙すとはふてぇやつです」

「おにぎりを使わないとは言ってません」

茶碗におちゃを注ぐとおにぎりをほぐして流し込む。

「ニンゲン殿、せめて、せめて漬物を……」

ダメです。

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