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悪魔がウチにおりまして・350

ウチには悪魔がいる。

最近事務処理に追われている悪魔が。


悪魔はご飯を食べるとシンクに食器を漬けた。

「ニンゲン、ごちそうさまですー」

「お粗末さま。最近忙しそうね」

悪魔は頭を掻きながら答える。

「新人が入って来ましてー。教育大変なのですー」

変な時期に入って来たものである。

「ほら、この前部下が旅立ったのでその補充に」

あぁ、賢者の石の。

「さすがに凍土にひとりで行くくらいの実力の子が抜けた穴って埋めるの大変ですよね……」

その話を聞いて何度生まれ変わっても悪魔の会社には入らないことを決意した。

「元々そんな場所に送るのって俗にいう左遷なのでは?」

「栄転です。もし生きて還ったら、その時点で独立社長ですから」

私の認識がバグってるのかなー、どうかなー。

「で、その代わりの子が問題でしてー」

「アンタ、本当に管理職なのね」

「ニンゲン、失礼ですー」

私の言葉に両手をバンザイしている。

なんだろう、これに既視感が……あ、レッサーパンダの威嚇だ。

そっと悪魔の角にスリッパを差して話を聞く。

「で、どう問題なの」

「ニンゲン、理不尽です。えっと、言葉が通じません」

大問題だわ。

「ついでに会社に入れません」

どういうこと!?

「ミノタウロス族の若い子が送られてきたんですよね、おっきくて。5メートルあって。会社に入れないんです」

「ちなみに会社の天井は?」

「えっと3.5メートルのはずです。胸までしか入らない……」

その子雇った人事連れてこい。

「仕方ないのですよー。タウロス族との取りひ……ご縁のためにー」

絶対今取引って言いかけたよね?そうだよね?

「そういう系の魔物って、力仕事するものでは?」

「タウロス族にしたらちっちゃいんですー。実際頭いいので事務向きなんですけどー」

5メートルで小さいの!?

「アンタ、意外と苦労してんのね……」

「意外とはなんですかー」

再びバンザイをする悪魔。

学ばないなぁ

悪魔の頭にスリッパをもうひとつ差すのだった。


ウチには悪魔がいる。

「クモちゃーん、スリッパ取ってー」

とてもじゃないが管理職に見えない、でもちゃんと仕事をしている悪魔が。

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