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悪魔がウチにおりまして・33

ウチには羊がいた。

なんかちょっと干からびてるし。


「…ニンゲン…私はもう永くありません…ですが、ビールを飲ませてくれれぶふぉ!?」

言葉の途中で腹を踏み抜いたら叫び声をあげて転げる羊。

心配を返してほしい。


「お仕事が立て込んでおりまして。少しばかりの休憩に来たのですがまさか暴行を受けることになるとは」

頭にばってん状の絆創膏を貼りつけて茶碗の米を口に運ぶ。

そこを踏んで無いので、コレなりのボケなのだろう。

相手にしていたらキリがない。

「仕事ってアレ?この子みたいに給料カットの監査?」

私の言葉に悪魔は背筋をスッと伸ばして涙を浮かべた。

ごめん、まだ癒えてなかったのね。

「いえいえ。この子以外は皆卒なく仕事していますので」

あー。あれか。

手のかかる子ほどかわいいというやつか。

そう言えば。

「アンタの紹介してくれた歯医者、あれも…」

「あーっと!ご飯を食べている暇もありません!ではこれにて失礼を」

羊は言葉を遮ると一気に茶碗をかっこみ洗い場の桶に茶碗を浸してちゃぶ台下へ帰っていってしまった。

行儀はいいので許しましょう。

「ニンゲン…ま、またボクをあの地獄へ連れていくつもりですか」

急にがくがくと震えだす悪魔。

クモと狐も震えだしている。

「虫歯にならなければいかなくていいんだからね。ほら、ちゃんと歯を磨く!」

悪魔ズは流し場に食器を片付けると一目散に洗面所に向かうのだった。

しかし、あの羊の態度…。


あくる日、有休を取った。

皆が出払った後に畳をはがしてノックする。

『入ってます』

「じゃねえんだわ」

腕を突っ込むと羊を引っ張り出す。

「やめてください、本当にトイレだったら大惨事ですよ」

「食卓の真下がトイレのほうが大惨事でしょうが。なんで呼ばれたかわかってるよね」

「呼んだというより、誘拐が正しい言葉かと」

「あの歯医者、ヤギによろしくって言ってたんだけど」

「…そうですかー。それなら彼によろしくとお伝えください」

目を逸らしながら畳の中に消えていく羊。

再び引っ張ろうとするが、もう手が入らないところをみると、あちらから閉じているようだ。

ふむ、仕方ない…。直接向かいますか。


ウチには私一人だけ。

あれ、クモ、寝てたの?おはよ。

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