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悪魔がウチにおりまして・335

ウチには狐がいる。

さっきから畳にコロコロをかけている狐が。


「狐ちゃん、さっきからどうしたの?」

今朝私が起きるなり狐は掃除を始めた。

今日の掃除担当はクモだから、どこぞの甘党と違って手を抜くことはない。

そのことを承知の上でずっと掃除をしているのだから、理由を聞きたくなるというもの。

「特に意味は無いのです。ただ、落ち着かなくて」

理由無いんかい。

「綺麗にするのは良いことだけど。ほら、クモがぶーたれてるよ?」

自分が掃除をした上でやり直しさせられてたらいい気分もしないだろう。

私の言葉に狐はぴたりと掃除を止めて、クモのロフトに向かって拝みだす。

「クモ殿、申ち訳ございません。今日ばかりは、今日ばかりは……」

ホントどうした?

「やめなさい、クモもきょどってるでしょう?」

飛び降りてきて狐の前で手を振ってるし。

「いいえ!こればかりは、こればかりはー!」

「やかましい」

今日初めて、狐にスリッパ折檻をするのでした。


「取り乱ちて申ち訳ございません」

頭にスリッパを差している狐なんてなかなか見れませんよ。

「で、どうしたのよ」

「実は……」

曰く。

尻尾を増やす試験が明日にあるそうで。

で、勉強自体はしっかりしているのだが、どうにも落ち着かず動けることと言ったら掃除くらいしか思いつかなかったようだ。

「復習したら?」

「これ以上頭に詰め込むと出てきそうで。気分転換になるかなって」

クモが肩をさすっている。

さすが道は違えど修行する者同士、感じ入るものがあるのだろう。

「試験って難しいの?」

「ええ。大抵の狐は100年かけて1本増やちていくのです」

狐の世界ってそんな長いスパンで出世していくのか。

「あれ、狐ちゃん今何本?」

「今度3本目の許可をいただきたく」

「まだまだ簡単な方なんでしょ?いけるいける」

狐の頭をわしわし撫でると鼻をすすっている。

見ないフリしてあげましょ。

「ほら今日の夜お稲荷さん作ってあげるから」

「五目が良いのです」

しっかり要望できるなら大丈夫だわ。


次の日、颯爽と玄関を出ていく狐。

「ごんちゃん、受かると良いですねー」

悪魔はほっぺいっぱいに稲荷を詰め込むのだった。

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