悪魔がウチにおりまして・332
ウチには悪魔がいる。
部屋で退屈そうにしている悪魔が。
「ニンゲンー。お外出たいのですー」
悪魔は暴風が吹く外を見ながらそんなことのたまっている。
「出ても良いけど、飛ぶよ?」
家の中に居ても聞こえるすごい音。
台風が上陸……というか直撃しているので仕方ない。
なんだったら計画運休をしているので私が家に居れるわけで。
「ニンゲンー!お外に、お外に行かせるのですー!」
別にこの子を外に出して飛ばされることはやぶさかではない。
でも、扉を開いたことで部屋の中に風が舞い込むことが嫌なのです。
何だったら、クモが扉糸でぐるぐる巻きにしてるし。
「こんな楽しそうなときに外に出ないなんて正しいのか、否!」
腕を組んでのけ反る阿呆、どうしたものか。
こんな時にうぱは袖をくいくい引っ張り、外に出たそうにする。
頭、悪魔と同レベルか。
「うぱ、お外は危ないよー。悪魔と同レベルで良いのー?」
うぱの子ども心を抑えようと悪魔と指さしながら尋ねる。
うぱはじっと悪魔を見て、苦虫を噛み潰した顔をする。
「うぱちゃん!?まさかの裏切りです!?」
自分で振っておいて少し酷なことをしてしまった自覚はある。
謝らないけど。
「いやぁ、酷い風と雨ですね。あれ、ミミ君、飼いうぱに手を噛まれたような顔をしてどうしました?」
コイツ、時々盗聴とかしてないか不安になる発言をするわね。
「ヤギさん、なんでこっちから出てきたです?」
そういえば羊の職場はこっちのはず。
「いやぁ。これだけの天気でしょう?わざわざ荒れてるところを通るんじゃなく、避けて通るのが当然だと思うんです」
ですよね。
「でも!でも!この天気でしか楽しめないこともあるかもですよ!」
引き下がらない悪魔。
「……なるほど。ミミ君、大人になるということは、無用な危険を避けるということです。喧嘩をしたら謝る。料理の出来に文句は言わない。大切なことです」
そういえば、ウチに神ちゃんという料理の生徒が来ないのはそういうわけか。
「ですのでこんな天気で外に出るでしょう?家に帰るでしょう?めっちゃシバかれます。下手すると乾くまで帰ってくるなって言われます。そんなことは嫌でしょう?」
「ヤギさん、尻に敷かれているのですか?」
それ、さっきの私よりひどくない?
「ミミ君、世の中には言って良いことと悪いことがあります。ミミ君が口を開くことは概ね言ってはいけないことです」
羊、悪魔の角を撫でながら諭している。
目は、バキバキに極まってるけど。
「……あい」
悪魔は震えながら首を倒すのだった。
「開けてー、開けてー」
牛がドンドン扉叩いてるけど!?




