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うぱがウチにおりまして・330

「我思う、故に我在り」と書かれた紙の前でうぱは思った。

「うむ、わからん」と。


今日うぱはひとりである。

クモもニンゲンもミミも狐も、なんかも家にいない。

つまりうぱはひとりで時間をつぶさなければならない。

つらい。

普段ならお父さんのところに遊びに行くのだが、最近忙しいらしい。

誰かが結界をあぼーん!したせいでびっくりした化物が大慌てで大移動していると言っていた。

うぱは腕を組む。

自分は直接この世界に触ることはちょっとしかできない。

そのためココアを沸かすこともできない。

悪魔が冬に飲んでいたココアが恋しくなりながらも、できないことはすぐに諦めた。

こう見えて、頭と思い切りは良いのである。

仕方ないので手でまりもをこねているがすぐに飽きてしまった。

やはり、まりもはキャッチボールするに限る、そんなことを考えていた。

次にうぱが取り掛かったのは砂糖を出して押し固め、角砂糖にしてピラミッドを作る遊びだった。

しかし、これもすぐに飽きてしまう。

積み木遊びで興奮するほど子どもではない、むんっ!

飛べるから部屋の高さいっぱいの砂糖塚が出来上がっていることは気にしないでおこう。

その時、壁から臭い邪が入って来た。

「げげげ……ここはいい匂いがする……ぎょえぇぇ!?」

砂糖塚に触れた邪はそのままうぱに気付かれることなく消えていく。

ちょい哀れ。

積み上げた、ということはトンネルが掘れるのである。

規則的に積みがったピラミッドの下段から慎重にキューブを抜いていく。

ぐらつかないように、そっと抜いていくと見事ピラミッドはテントに変わる。

なかなかしんどみ溢れる作業だったが、建設中にくり抜いた材糖はそのままうぱのお口にダイレクトしていたので、なんの問題もない。

……飽きた。建設も食べるのも。

うず高く積まれた砂糖、どう処分すればいいのか。

そんななか、こっそりと畳が開くとモグラが顔を覗かせる。

「うぱさん、今度いちごとばななを作ります。この砂糖全部貰っても?」

うぱは両手で大きくマルを作る。

「痛み入ります。いちごが成った暁には例の場所に……」

世界一かわいい裏取引のお陰で砂糖の処理はできた。

うぱは安心して眠りにつくのだった。


「うぱちゃーん!また寝てるですー」

悪魔が帰ってくる。

いつも、寝ているうぱを見て微笑みながら添い寝するのだった。

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