悪魔がウチにおりまして・329
ウチには悪魔がいる。
あっちのおもちゃをよく持ってきて遊んでいる悪魔が。
休日の昼下がり、悪魔と羊は畳の上にカードを広げて叫んでいる。
「ヤギさん、食らうです!紅蓮のクリムゾン!」
「やや!?色魔法を準備しているとは……カウンター発動!虹色のレインボウ!」
「そんなー……というと思ったです?これでヤギさんを守るカードはありません!食らえ!必殺!無限のインフィニティぃぃぃぃ!!!」
「なんとぉ!?わ、私のイノチ・ポイントがぁ!?」
さっきから頭痛が痛いみたいな単語が飛びまくってて背中がむずがゆくなるんですけど。
対戦が終わると2匹は静かにカードをまとめ始めた。
「ミミさん、前回の時には無限インフィニティ持ってなかったんじゃ?」
「前回ブースター買ったら当たったですー」
「ミミさんのデッキ見せてください、参考にします」
そうして2匹はカード束を交換してカードを吟味している。
いうてこいつら結構良い歳じゃなかった?
「そっちにもカードゲームあるんだね」
「もともとはこのニンゲン界発祥ですよ、このあく☆マイスターは」
言葉のセンスまでこっち由来だと?
「ニンゲンという生き物は時として業の深いものを開発します。カードゲーム、ガチャ、パチンコ……どれもこれも欲を掻き立てるものですね」
悪魔からそう言われていたら世話がないけど。
確かに中毒性とギャンブル性組み合わせてるものと考えるとヤバいものに溢れているといいますか。
「しかし、アンタたちも良い歳なの……」
途中で言葉をつぐんだのは、2匹、特に悪魔の目から光が消えたからだ。
「ニンゲン?それ以上の言葉は、いろんなところに放火しますよ?怖いですよ、オタクは」
悪魔からオタクの恐怖を語られる日が来ると思わなかった。
「ミミ殿、どうちました?目からはいらいとを消ちて」
笠を被った狐が帰ってくる。
遠出でもしてたのかしら?
「ばー蜂の巣ががす爆発を起こちたと。警察に事情聴取です」
大変なことがあったのねー。
羊?一気に換毛期?
「あれ?あく☆まいすたぁですか」
「あれー、ごんちゃんもやってるですー?」
狐は押入れの中からジュラルミンケースを出した。
「某、かーどには少々うるさくて」
はーい、静かにやってねー。
ウチにはカードゲームが流行ってた。
「切り札!終焉のふぁーすとあたっく!」
……逆の言葉の組み合わせもあったのね。




