悪魔がウチにおりまして・320
悪魔は居残りしている。
なんか関ヶ原行っているらしい。
「悪魔たちって、夏休みいつまでなの?」
悪魔が慌てて飛び出してったことを考えると、まだ休みは続いているんだろうけれど。
聞かれた羊と牛は顎を押さえて首を傾げる。
「夏休みっていうほど」「まとまってませんよねぇ」
んん?だって宿題あるって言ってなかった?
「もともと私たちの仕事って実労系なので」
「そうは言ってもヤギさん事務系だから出勤多かったですよね」
「こっちの世界のほうが全然出勤多いですけどねぇ」
なんか最近慣れた、悪魔よりこき使われているニンゲン界。
嫌な世の中になったものです。
「宿題って言ってたのは?」
悪魔が今泡食って関ヶ原してるのはなんなのさ。
「それは8月必ずやるんです。ボーナス出るから、より働けって話みたいです」
ボーナスって言うか、実労?
「そこを上手く逃げるのが働く心得なんですけど。まぁ、ミミさんはバ……素直だから宿題やっちゃうんですよね」
今、絶対バカって言おうとしたよ、この牛は。
「それで下手すると首切られるのってしんどくない?」
しかも物理でしょう?
私の言葉に2匹は大笑いを始めた。
「ニンゲンさん、もちろんジョークですよ。デビルンジョークです」
牛が手を叩いているが、そんな可愛いものじゃないでしょう。
「まぁ、宿題を忘れた悪魔がいないのでウワサなのか判断できませんが」
そりゃ命と天秤にかけて試すヤツはいないでしょうね。
そんなとき、スマホに着信が来る。
「悪魔?関ヶ原ってどういう……」
『ニンゲン!ヤバいです!シマヅっておじさん強すぎるのです!』
……ん?島津?
「あんた、今どこに……」
『ヒデアキそそのかすことできて帰れると思ったのに!ニンゲン、生きて帰りますので、今日ハンバーグにしてくださいね!』
そこでプツンと切れてしまう。
「なんなのよ、もう」
その通話を盗み聞きしていたのか、羊が汗を拭いている。
「あのですね、宿題無くすとそういうことになるらしく。たぶん、歴史を動かして来いって言われたんでしょうね」
てことは、本当の関ヶ原にいるわけ!?
「おそらく、人は殺すなって条件も付けられてるんでしょうねぇ」
牛が手を合わせる。
まだ悪魔死んでないでしょうに。
しばらくして悪魔が帰ってきた。
背中にめっちゃ矢が刺さってる悪魔が。




