悪魔がウチにおりまして・316
ウチには悪魔がいる。
その友達がホイホイやってくる。
「メカちゃんがお土産をくれたと聞きました」
モグラがひょっこり現れて、部屋の隅を漁っている。
「あー、どれだろ?」
この前メカクマが大量の土産を置いていったけど、誰の物かは言っていかなかった。
ちなみにメカクマ本人は次なる旅を求めていきました。
自由人め。
「んー。たぶんコレです。貰っていっていいですか?」
モグラが手に取ったのは「化け木の葉」と書かれたスナックだった。
そうか、タヌキ自認のモグラだからか。
「そうだ、今日畑で採れました。蒸すだけで食べてください」
背負ったリュックから太いトウモロコシを取り出した。
「絶対に味付けしたらダメです。この子はそのまま食べること、そうじゃなきゃ侮辱です」
生産者の親バカが強いトウモロコシですなぁ。
「こんにちは、ニンゲンさんお久し……あら、ぽんさん」
羊がにゅっと生えてきた。
「ヤギさん、こんにちは。蒸すだけで食べてください」
モグラはさらにトウモロコシを取り出すと2本羊に渡す。
「……蒸すだけなら、蒸すだけなら……」
誰が調理するのか、察する言葉ですなぁ。
「羊、今日はこっちなんだ?」
現在この羊が住んでいるのも働いているのも狐ビルだったはず。
つまり、こっちの世界だ。
「ええ、今日は妻のおとーさんと会食をしてまして」
……神とコレが会食、ねぇ。
終末戦争か何かかな?
「……おとーさんの分はありません」
モグラ、皆に分け与える義務感でもあるのか、少しヒゲが垂れている。
「大丈夫です。おとーさん、こっちのもの食べられませんから」
そっかー、神って食べ物いらないのかー。
「ちょっと待って?このトウモロコシ、あっちの世界で作っているんでしょ?」
それだけじゃなく今まで持ってきたもの普通に食べてたけど?
「ニンゲン、実はボクがいるのは第3の世界なのです」
ここに来て新情報!?
「えっと、正確にはニンゲンのいる世界と悪魔たちのいる世界だけじゃなく、全種で世界が違うのですが」
「どゆこと?」
「そこは私が!」
羊がメガネをくいっとする。どっから出した?
曰く。
ニンゲンも悪魔も神も狐も、世界がそれぞれ違う。
で、普通はそれぞれの世界で行き来なんかできるわけがない。
私がいるせいでこれだけ簡単に行き来が……ちょっと待て。
「まるで私が人間じゃないみたいなこと言わないでよ」
『……えっ?』
止めなさい、そういうイジメは。




