悪魔がウチにおりまして・315
ウチには悪魔がいる。
「タダイマ戻リマシタ」
……メカクマか!
メカの悪魔、メカクマ。
確か地獄旅行をしていたはずだけど。
「イヤァ、旅行楽シイデスネ。コレオ土産デス」
メカクマは袋から平たい箱を取り出す。
「ヨルムン楽糖」と書かれている。
どうやらお饅頭みたいだ。
「地獄に行ってたのよね?」
「ハイ。地獄ハ広イデス」
多分ヨーロッパ域まで行ったんだろうなぁ。
「あれ、ミミ殿。こんな時間に帰っているなんて珍ちいですね」
狐、帰宅。
まぁ見た目そっくりなメカクマには気付かないよね。
「ごんチャン、オ久シブリデス」
「……あぁ、めか殿」
フリーズ長かったなぁ。
「ごんチャンニハこれデス」
メカクマは袋から「地獄の揚げかま」と書かれた箱を取り出した。
「……めか殿、あなたの幸せのために祈らせてください」
そんなに嬉しいのか!?
「これハ1カ月ニ10個ノ限定品デス」
どうやって手に入れたのよ。
「他ノ方々ニモ有リマスノデ」
次々に袋から土産を取り出すメカクマ。
「糸巻最中」「堕落ジンギスカン」「化け木の葉」等々。
「いろいろ買ってきたわねぇ」
メカクマは顔を赤らめた。
「オ土産ハ選ンデイル時ガ一番楽シイッテ本当デスネ」
コイツ、本当に悪魔モデルなのだろうか。
よほどいい子ではないか。
やはり、こっちをウチの子に引き取るべきでは……。
「ただいまですー。あれ?ボク、いつ帰ってきたですー?」
「ぼく、タダイマデス。……オカエリデス?」
確かにこういう時迷うよね。
「どっちでも良いですよー。……やや!?お土産!?」
悪魔は目を輝かせて他のみんなへのお土産に視線を送っている。
「……アッ」
メカクマは目線を逸らして額からオイルを垂らす。
「……ボク?」
「……ぼく、諦メテ」
ウチには今悪魔が2匹いる。
1匹は号泣、1匹は慰めている。
「宿主殿、食べます?」
狐が「揚げかま」を渡してくる。
なるほど、油揚げのおせんべいか。




