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悪魔がウチにおりまして・314

『大尉、こんな無謀な作戦、無理で……うわあああ!』

GAMEOVER……。


「ニンゲン、へたっぴですー」

「うるさいわねぇ、こーゆーの苦手なのよ」

私はバイザーを外しながら悪魔に返す。

先ほど銃で撃たれたのはもちろん現実ではなく、悪魔が持ってきたVRゲームです。

「ふっふー。ニンゲン、弱っちー」

スリッパ……は、生ぬるいか。

「に、ニンゲン!RPGならどうです?」

察しの良い悪魔は嫌いじゃない。

「VRでRPG……やってみるかぁ」

「協力プレイができるのですー。レベルは最初からにできます」

悪魔は先んじてバイザーを付けてゲームを起動する。ふむ。

倣ってゲームを開始、アクションじゃなければいけるはず。


チープな音楽と共にタイトルが流れてくる。

どうやら脳波を読み取って勝手に適切な言語を選択してくれるらしい。

すーっと上からタイトルが流れてきて真ん中で止まる。

『魔王クエスト』

えっと、なんで伝わってるの?

気を取り直してゲームに入る。どうやらオーソドックスなRPGゲームなのだろう、お城の中で王様にかしずいている。

『おお、魔王よ。勇者に倒されるとは情けない』

んん?

負けからスタートなの?

隣で同じくかしずいている悪魔にこっそり聞いてみる。

「コレ、スタートなの?」

「そうですー。まずにっくき勇者に倒されるところから始まるのですー」

文化の違いかなぁ、馴染める気がしない。

『そんな愚かな魔王に二度とないチャンスをやろう、喜ぶがいい』

なんかこの王様、偉そうじゃない?

こっち魔王でしょ?

『再びニンゲンの世界を……』

「てーい!」

悪魔、話している最中の王様を討伐。

アリなの?アリなの!?

「悪魔!?いきなり何を……」

「ここが実は詰みポイントなんですよー。この王様、実はニンゲンの手先でして。最後まで話聞いてるとそのままエンディングになっちゃうんですー」

そんな初見殺し、ある!?


この後、次々に出てくるイベント。

そしてその度にクリアしてしまう悪魔。

私、付き添いでしかありません。

「ニンゲンー、楽しいですかー?」

「……解説動画見せられてる気分です」

ウチには悪魔がいる。

沼にハメるのが下手な悪魔が。

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