悪魔がウチにおりまして・302
ウチには悪魔がいる。
最近来ない悪魔がいるのですが。
「ねぇ、悪魔。最近羊見た?」
納豆を混ぜている悪魔に尋ねると天井を眺めている。
「見てないですねぇ。ご飯の時間には帰ってくるように言っておいたのに」
羊はアンタのペットか何かか。
「夕飯、食べに来ないから勿体ないのよね」
と、言いつつもウチには大飯食らいしか居ないから、みんなで分け合って無駄にしては無いのだけど。
「アレ?ニンゲンさん、聞いてません?ヤギさん結婚したこと」
鮭をほぐしている牛が首を傾げる。
「知ってるけど。もしかしてそれが理由?」
「当たり前でしょう。ハニムーンで他の家でご飯食べるバカがおりますか」
妙に発音良いのがムカつくなぁ。
「ヤギさん、今度来たら焼きましょ?ボク、ジンギスカン好きですよ」
だからアンタは恋愛ごとになったら火力上る性格はどうにかしなさい。
「筋張ってて食えそうにありませんが。ヤギさん一言伝えているかと」
ホントだよ。
一言言っておいてくれれば準備しなかったものを。
「……あ、神ちゃんと結婚したんですよね?ヤギさん」
「それ以外だったらあの子世界滅ぼしてるでしょ」
あんなヤンデレに世界を管理されている状況は心配になるけど気にしたら負け。どうせ手なんか出せないし。
「……神ちゃん割と料理できませんよ?」
なんであの子は神なのにポンコツなの!?
「ほら、神ちゃん自分で料理する必要ないじゃないですか。作ってもらえるんです、だから……」
理由は分かったけどそれだと羊がかわいそうじゃない?
「こんばんは!」「お邪魔しまーす」
ウワサをすれば新婚さんがいらっしゃい。
「羊、ご飯食べないなら言っておいてよ」
「実はそのことですが……」
「人の仔……いえ、先生!」
……説明して!?
神ちゃん曰く。
料理くらい簡単にできると思っていたが、全く美味しくない。
羊も気を使って食べ続けていたのだけど、作っていた本人が先に根を上げた。
「だから、料理教えて?」
「私からも頼みます。……ご飯を、楽しみたいのです」
泣くな、羊。そのことに機嫌を損ねないあたり神ちゃんも引け目を感じていたらしい。
「わかったけど……難しいの作れないわよ?」
「良いんです……ポタージュにメロンが入って無ければ……」
……責任、重大だった。
「……神ちゃん、ちゃんと勉強しましょうね」
悪魔が折れるってのはよっぽどだわ。




