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悪魔がウチにおりまして・28

ウチには悪魔がいる。

なんの仕事をしているのか分からない悪魔が。


「悪魔、あんた仕事何しているの?」

3匹の動物が花札をしているときに話しかけてみると、悪魔と狐が顔を見合わせた。

「ニンゲン、聞くのですか、聞いてしまうのですか…」

ついに来てしまったというように勿体ぶってゆらりと立ち上がる。

狐は耳を塞ぎ、クモも倣って天を仰ぐような所作をする。

チラチラと悪魔を見ているあたり、流れに乗っかっているだけのようだ。

「まぁ、言いたくないならいいよ」

そのまま流しに行き皿を洗い始めると足元にすり寄ってきた。

「聞いてしまうのですか?ボクの仕事を聞いてしまうのですかー」

ズボンの裾を引っ張るんじゃありません、伸びるでしょ。

「聞いてほしかったなら言えばよかったのに」

「ニンゲンには刺激の強い話ですので…聞いてしまうのですかー。こちらの世界に興味をもってしまっ…」

「あんまり」

目の端でうなだれる悪魔が居る気がする。

早く皿を洗って付き合ってあげましょう。


「で、なんの仕事してるの?」

畳をヒヅメでひっかいていた悪魔に話しかけるとぱぁっと顔が明るくなる。

とりあえず畳に傷がつく前でよかった。

「そんなに聞かれてしまっては仕方がないですねー。いいでしょう、教えてあげましょう!」

クモと狐は悪魔を囲んで拍手を始める。

一応、おざなりとは言え拍手をしてあげる。

「実はですね…」

悪魔が語りだした仕事は…一言で言い表せばスパイ?

こっちの世界に潜り込んで人間の生活を観察して堕落させる方法をあの羊に報告する…というものだったのだが。

「それ、私に言って良いわけ?」

数秒のフリーズ。

「あぁあぁぁあぁ!?」

やっぱりダメだったんだ。

「は、謀りましたね、ニンゲン!」

「アンタが聞いてほしそうだったんでしょー」

わいのわいのしている最中、こっそりと羊が頭だけを畳から出して何かをメモっている。

「…査定マイナス、と」

それだけ言うとパタンと畳を閉じて帰っていく羊。

うなだれる悪魔。

「…出世が遠のいてしまいました」

「出世あったの!?」


ウチには悪魔がいる。

仕事が出来るとは言い難い悪魔が。

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