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悪魔がウチにおりまして・272

ウチでは緊急事態が起きている。

それは……。

「ニンゲン、クーラーが止まりました」


現在の室温、34度。

扇風機をどれだけ回しても一向に涼しくなりません。

「だ、大丈夫。まだ体温よりは低い、デス」

悪魔が虚ろな目でかき氷機を回しているが、中身が空なのに気付いていないあたり、もうダメかもしれない。

「心頭滅却すれば火もまた涼しという古い言葉がありまして!」

カッコいいこと言っている羊だがトイプーのような刈りこみを入れているのでなんの説得力もありませんことよ。

「あれ?悪魔たちの体温って何度なの?」

普通にスルーしかけたけど、考えたらウチらと同じくらいなわけが……。

「36度くらいですよ」

頭に氷を乗せながら牛が答える。

「その環境の霊長っているじゃないですか。その生き物が反映しているんだから、一番過ごしやすい機能なわけで」

納得できるんだかできないんだか。

「でも、その理屈だとこの星一番反映している存在は虫のはずだよね」

なんかの動画で、この星は虫が一番数が多いって見た気がする。

心なしかクモが胸を反らせている気がする。

「ほら、虫って各々の個性強すぎません?さすがにトンボとクワガタとく……ムカデを同じ種と認めるのはいささか抵抗が」

牛、ちらりとクモを見て言葉を遮ったあたり、デリカシーというものはあるようだ。

「で、ニンゲンのフォルムに近くなる、と」

「あとは話が通じます。虫、クモ君は別ですが普通の虫って何を考えているのかわかりません」

トイプー参戦。

「私には悪魔の考えていることが分からないけど」

氷が入っていないことに気付いた悪魔、冷蔵庫からこんにゃくを取り出してかきこんにゃくしている。

アレの理解はできない。

「私にもわかりませんので放っておきましょう。それよりエアコンです」

現実から目を背けてもだめかぁ。

「ニンゲン、かき氷できますからね……」

そろそろコイツ冷やしてあげないと戻って来れない気がする。


結局。

その日クーラーが直ることはもちろんなく、延々とかき氷機を回し続ける悪魔のデコに保冷剤を張り付けて正気に戻すのでした。

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