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悪魔がウチにおりまして・271

お姉が唐突に立ち上がる。

「そろそろ行くわ」


お姉がニートになって1週間。

みんなでそうめんを流していた時にいきなり宣言する。

「行くってどこに?」

「いつまでもメノの家に居ても仕方ないし。私のしたかったことでもしようかなって」

背伸びしながら言ったお姉の顔は曇ることなく晴れやかだ。

対してお通夜モードは悪魔と狐。

「ニンゲン姉、もう会えないのですか?」

「ミミ殿、別れは必定……泣いてはいけません」

なんでそこまで湿っぽくなるかなー。

クモも上から降りてきてクモ糸玉渡してるし。

「ニンゲンさん、この子たちは身内の別れに慣れてないのです」

そうめんをすすりながら羊が近寄ってくる。

「そうなの?」

「ほら、私たち寿命が長いでしょう?だから年がら年中同じ顔であーだこーだ言っているのです」

自分らの行動をあーだこーだにしてしまうあたり、羊のいい加減さが伺えるというもの。

「そのため、別れというものが苦手で……」

「あら、アンタも悲しんでくれるの?」

頭にスリッパを付けられたお姉が羊の頭をわしづかみ。

……悪魔、それ選別じゃないんだけど。

「私はさほど。どうせしぶとく生き残り、またまみえることでしょうし」

さっきからなんかズレてる気がする。

「アンタだけじゃなく、この子たちにもバレてるとは。メノだけよ、気付いてないの」

なんのこっちゃ。

「この者は支部を潰しに回るのですよ」

ふぁっ!?

「いくらうぱちゃんがいるって言っても別支部から追手が来ないとも限らないし。それなら先んじて……」

「ただいま戻りましたよ」

剣呑な雰囲気になりかけたところに牛が麦わら帽子を被って帰ってくる。

「はい、お土産です」

ビニール袋にフィッシュアンドチップスダイレクトはいかがなものかと。

その手土産を見て、お姉と羊が青ざめる。

「アンタ、まさか」

「兎田くん!?」

2人、揚げ物嫌いだったっけ?

「さすが、察しの良い。話は付けてきましたので実力行使は必要ないかと」


牛は写真を出す。

ロマンスグレーのおじさんが引きつった笑みでトレンチ牛と肩を組んでいた。

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