悪魔がウチにおりまして・262
ウチらはそそくさと逃げ帰る。
そこらへんはお姉のアドバイスです。
「メノ、ウチらで処理するからあんたはここに居なかった、いいね?」
お姉がそう言って、悪魔たちと家に帰ってきた。
悪魔は左腕が折れて、牛が歩けない。
そんな大ケガとは知らなかった。
「全く!あの程度の刺客にそんな大怪我、情けぐふぉ!?」
ゴメン、つい手が出た。
ケガしながら守ってくれたふたりに失礼でしょう。
「ニンゲン、ナイスです。もっとやれです」
腕を吊りながら右腕を振り回す。
止めなさい、そこそこ響くでしょう。
「ヤギさん、いくら自分が強いからって調子乗るんじゃねーです」
口調崩壊しているのは、安堵からなのだろう。
あとは羊がムカついたかどっちかだ。
「ニンゲンさん!私が来なければもっと大惨事だったのですよ!?労わってください」
羊からのクレームを無視すると神ちゃんの膝に泣きついている。
イラっとします☆
「冗談抜きでミミちゃん、なにしたの?彗星龍って外管轄だからよく知らないのよねー」
羊の頭を撫でながら神ちゃんが尋ねる。
この子も知らないレベルなんだ。
「ボクが知るわけないですー。ていうか、彗星龍なんてうそんこと思ってましたです」
てことは何?
悪魔も知らない相手から訳も分からず襲われたってこと?
「ひとつわかるのは、ボクらを狙ってたってことでしょうね。ミミさんだけじゃなく」
牛が砕けたヒヅメを整えながらぼやく。
「まずミミさん狙ったの間違いないんでしょうけど、ボクもヤギさんも見つけたら追加してて、ニンゲンさんや執行者を無視したってことは……」
じっと神ちゃんを見る。
慌てた様子で手を振っている。
「私たちがあんなの造るわけないでしょ?趣味が悪い」
確かに神ちゃんとか天使がアレ造る気はしないなー。
「やっと終わったー。羊、酒」
お姉が玄関から入ってきて、シレっと命令。
「自分でどうぞ。私MVPですので」
羊、今日は強気。お姉、顔をゆがめるけど冷蔵庫からチューハイを取る。
「ボクのメロンサワー……」
悪魔が物悲しそうな目をしている。
「ぷはっ!結論ね、悪魔たちはお咎めなし。ただ、厳戒態勢になったから監視は付く、おっけ?」
あの、お姉さま?まさか……。
「うん、メノしばらくよろしく」
ウチには悪魔たちがいる。
なぜか皆顔を青ざめております。




