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悪魔がウチにおりまして・250

ウチにはクラゲがいる。

かんざしをじっと眺めるクラゲが。


「そのかんざし、見たことあるの?」

さすがにそんなことはないだろうけど、気になってしまったのだから仕方ない。

「コレ、かんざしというのですね。初めて知りました」

クラゲはかんざしを光にかざしながら目を細める。

「これは我が一族に伝わる神器でして。遥か遠い昔、古き友より頂いた神秘の守り。と、言われています」

なんか頭がくらくらしてきた。

「それ、京都にたくさん売ってますよ?」

悪魔!空気読んで!

「らしいですね。でも、この模様」

クラゲはかんざしに付いた玉飾りに描かれる模様を指した。

「この我が一族を模した模様を付けた神器はそうそうないでしょう」

確かにクラゲに見える模様が描かれている。

「えっと?ご先祖様、地球に来たことが?」

私が尋ねるとクラゲは頭を振った。

「その経緯は伝わっていません。しかしこんな未開の星で我が一族の神器があるなんて……」

それきりクラゲは宇宙船を直すと言って浴室に引きこもってしまった。


「直りました」

夕方にクラゲは浴室から出てきた。

「それでは私は帰ります」

「また来るですよー」

悪魔は手を振った。

「運命が重なれば」

クラゲはそれだけ言うと浴室の扉を閉めた。

それきりだった。

気になって浴室に入ると、中には誰も居なかった。

ぽっかりと空いた、穴すらも。

もしかして2人そろって夢でも見ていたのだろうか。


後日、竹爺に礼を言うためにひとり竹林に向かった。

「おや、ひとりか……茶くらい出そう」

私の表情を見て何かを察したのか、竹林の隣にある家に招いたくれた。

「なんでかんざしを?」

竹爺は茶をすする。

「……あの者は帰れたのかな?」

「ええ、きっと」

「そうか」

それだけで会話は終わってしまった。

竹爺の穏やかな笑顔で空を見上げる姿を見てたら、それ以上聞けなかった。


空には世界が広がっている。

私たちが知らないだけで、広い世界が。

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