悪魔がウチにおりまして・249
ウチにはクラゲがいる。
これ以上居候は増やしません。
「宇宙船の修理には竹が必要です。集めてください」
どんな技術力か分からないが、宇宙船を修理するためには竹があればどうにかなるそうで。
「なんか人使いの荒いクラゲさんですねー」
珍しく地雷子がそう溢しながら向かったのは近くの竹林。
この前竹をいただいた場所に来ております。
「たのもー」
道場破りじゃないんだから。
地雷子の呼び声に、何かが回転しながら天から舞い降りる。
地雷子、目を輝かせ落ちてくる物体にこぶしを入れる。
ガキンという金属音。
地雷子は汗を垂らし、逆のこぶしを振るうも、空を切る。
「未熟、未熟!その程度のこぶしで捕えようなど100年早いわ!」
おじいちゃん、キャラ違いません?
「くっ……。ボクのこぶしを受けて無傷、ですと!?」
そこそこヤバイじいさんじゃない。
「和久井よ、教えたはずだ。こぶしとは敵ではなく己に向かって放つものだと!」
「あなたに教わる言われはないのですー!」
「止まんなさい」
スリッパで地雷子の頭を叩くと涙を滲ませていた。
「お姉さんはノリが悪いのう」
その様子でテンションを落ち着けた竹爺はヒゲを撫でながら歩いてくる。
「で?また竹か?それにしてもちと早くないか?」
七夕までもう少しあるからねー。
前回の竹、ちゃんと物干しにさせてもらってます。
「うちゅーせんを直す……もがもが」
このお口には油でも塗ってあるのかなー?
地雷子の頬を引っ張っていると、竹爺はぴたりと動きを止めた。
「そんな時期であったか、少し待っておれ」
しばしあと、竹爺はかんざしを持ってきた。
「竹は好きなだけ持って行って構わん。代わりにこれも届けてくれんか」
余りの神妙な顔に理由を問いたかったが、そのまま姿を消した。
「なんでしょう、コレ」
「分からないけど、渡すしかないでしょ」
そのあとは竹を5本ほどぶった切り、担いでもらう。
地雷子ちゃん姿で竹を持っていく姿、シュールだけど仕方ないですね!
「おかえりなさい、良い竹です。さっそく作業に」
「クラゲ、これに見覚えある?」
竹と一緒に預かったかんざしを渡すと、クラゲはじっと見つめた。
「……預かります。ありがとうございました」
……えっと?
誰が説明できるのよ、この状況!?




