悪魔がウチにおりまして・248
ウチには悪魔がいる。
トラブルメーカー体質の悪魔が。
「宿主殿、お先にいただきまちた」
狐が身体をふきふき風呂場から戻る。
ウチではみんな必ずお風呂に放り込む。
クモは浸かれないから洗面器だけど。
「のわー」
そんなとき風呂場から間の抜けた声が響く。
今入っているのは悪魔。
「どうしたのー」
「ニンゲンー、大変ですー。来てくださいー」
晩御飯の準備中だというのに。
「宿主殿、某が代わります」
狐に菜箸を渡す。
「悪魔ー、何が……」
確かに大変なことになっていた。
浴室の真ん中に大穴。
なんでこんなことになってるの。
「またなにやらかしてんの」
悪魔にヘッドロックを極めようとすると悪魔は慌てて手を振った。
「違うのです、ボクじゃないのです!いきなり、どーん!って」
穴の中を指さす。
そんなこと起きるわけがないでしょうに。
ちらりと穴を見ると、何かが穴の淵を掴む。
……何、コレ?
まるで触手のような。
次々に穴の淵を掴む触手。
中からずるりとクラゲのような生物が這い出して来た。
「……悪魔、食べて!」
「ボクのことなんだと思ってます?」
悪魔のジト目が冷たい。
「あの、ごめんなさい。直しますので」
なんとクラゲはこちらに話しかけてきたのだった。
「なるほど、分かった」
このクラゲ、わかりやすく言うと宇宙人。
太陽系旅行中、居眠り運転した結果、ウチに衝突したらしい。
もう何が起きても驚きませんよ。
「ギリギリ避けようと思ったんですけと、透過ボタン2度押ししちゃいまして」
それで天井は無事なのね。
「まぁ、直してくれるなら構わないけど」
幸い、なんか変な技術持ってそうだから簡単に直せるでしょ。
「あのー、キミはどこから来たんですかー?」
悪魔、深く関わろうとしない!
「えっと、一応アンドロメダ銀河内ではあるんですけど。ただ未開星には情報渡しちゃいけなくて」
あるよねー、そういう保護条約。
「で、どれくらいで直るの?」
1番の問題はそこになる。
「……宇宙船、壊れちゃって」
……聞かなかったことにしたーい。




