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悪魔がウチにおりまして・247

ウチには悪魔がいる。

こう見えて役員待遇の悪魔が。


「あっ」

悪魔がアサリの佃煮をつついている最中に目を見開いた。

「ミミ殿、やはり佃煮の茶漬けにするべきと申ちましたのに」

狐、たぶんそれが理由じゃない。

「ごんちゃん、お茶を沸かし直してください。ぬるい茶漬けは罪なのです」

結局茶漬けるんかい。

「ニンゲン、一大事なのです」

やかんをチラチラ見ながら悪魔はこちらに訴える。

真剣みが無いのよ。

「ボーナスの査定、してませんでした」

……アンタの部下可哀そうすぎるだろ!?

「まずいです。締め切りはとっくに過ぎています」

マズいなんてものじゃなく、クーデターでも起こされない?

「ほう、査定を忘れましたか」

羊はひき肉のそぼろをご飯の上に乗せながらメガネをくいっと上げる。

「いけませんね、いけませんよ、ミミ君。以前私が忘れた時にはその後半年ストライキが起きました。しかも責任は上層部にありと言うことでその期間給料も発生して……恐ろしい事態でした」

アンタもやってんのかい。

「ヤギさん!どうにか、どうにかなりませんか!?」

悪魔はお茶漬けをしゃばしゃばかっ込みながら羊に懇願する。

うぇあ・いず・真剣み。

「左様。その時は専務に責任を擦り付ける形で事なきを得ました」

得てませーん!全く事しか起こってませーん!

「なるほど!今回も専務に……矢文!」

悪魔は窓をからりと開けると飛んできた矢を受け止めた。

悪魔は手紙を開けると声に出して読み上げる。

『責任を、果たすように』

それしか書かれていないのが逆に怖い。

「ににににに、ニンゲン!どうしましょう!」

やっと事の重大さを感じたのか、茶碗を置いた。

「とりあえず事務の悪魔に連絡したら?」

曲がりなりにも会社組織であれば、事務担当くらいいるでしょう。

「行ってきます!」

悪魔は残ったお茶漬けをすすると畳の中に飛び込んでいった。

「……羊、アレウソでしょ?」

ジト目で羊を睨みながら私も茶漬けをすする。

「バレました?ボーナスは基本的に繰り越し査定、変更がある時だけ記載の習わしでして」

コイツいけしゃあしゃあと。

「……まぁ、私が忘れたせいなんですけどね」

……うん、もしかしてストライキあったの本当だわ。


ウチには悪魔がいる。

「……反省文、手伝ってほしいのです」

自分で書きなさい。

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