悪魔がウチにおりまして・244
ウチには偶蹄類ズがいる。
何やら宴会の真っ最中なようで。
「ねぇ、2人とも。もう少し端で飲んでくれない?」
飲むことは構わない。
だが、デカい2匹が真ん中に陣取られてしまうといろいろ邪魔でしょう。
「ニンゲンさん!今アツい男の井戸端会議をしているのです!」
「ヤギさん、そういうの良いです。もう少し詰めましょう」
なにか言いたげな羊であったが素直にジャーキーを持って端に詰めた。
いや、おつまみジャーキーって。
「この魔界牛のジャーキーはなかなか手に入らないのです、ささ!どうぞ」
「ミミさんの上司って感じしますよね。おや、いいお味」
結局食うのかい。
「ニンゲンさん、食べられるときに食べておかないと。どうします?明日パチンコで全財産無くして食うに困る日々に見舞われたら」
そもそもギャンブルしません。
「ニンゲンさんはそういうリスキーなことよりも積み立てとか好みそうですけどね」
羊はジャーキーを吸いながらこちらを向く。
なんかバレていて癪なんですが。
「そっちの世界にギャンブルってあるの?」
何の気なしに聞いたことで2匹は固まり、十字を切る。
だからアンタらが十字を切るな。
「あるにはあるんですが」
「ハイリスク・ローリターンなんですよね」
やる意味!?
「ほら、ボクらって基本長生きなんで。飽きるんです、生きているのに」
「そんなときに命の大切さを学ぶために、若者が……おっとこれ以上は」
羊が口をつぐんだ。
気になる、でもダメな香りしかしない。
「悪魔はギャンブルやるの?」
当人はいないけど、気になる。
「ミミさん、ギャンブルというか、ルールの穴突くのが上手くて基本出禁食らってます」
何してんの、あの子は!?
「ミミ君、真っ当な悪魔がきちんとハマるルールの穴を見つけてシェアして。カジノいくつも破産に追い込んでまして」
ウソでしょ!?ローリターンどうしたのよ!
「ちなみに、天性の運もあります。さすがにルーレット256マスの1点賭け、13回連続当てられたら潰れますよ。いくらバックが128返しとかでもね」
マジか。あの子、そんなに運あったのね。
ウチにはギャンブラーがいる。
既にギャンブルとして成り立ってない気もしますけどね。




