悪魔がウチにおりまして・234
ウチには悪魔がいる。
思っている以上に酒を飲む悪魔が。
「ぷっはー!この一杯のために生きているのですー!」
明日は休みなのか、悪魔は晩御飯前にビールのロング缶3本目を飲み干した。
「すきっ腹にビールばかり飲んでるとご飯食べられなくなるよー?」
人の作ったご飯を残すようであれば、次から悪魔の分は無しにしよう、そんなことを考えていると悪魔がぽんっと腹太鼓。
「大丈夫です。お酒とご飯は別腹です!」
それだけ食べて太らないのはうらやましい限りで。
「ミミ君!お酒を飲む時には私を呼びなさいとあれほど言っているでしょう!」
玄関から唐突の羊。
「ヤギさん、今日は残業では無いのですか?」
「どうせ棚卸は明後日、多少どんぶり勘定になってもやるのは自分ですから」
それ、明後日めちゃくちゃ後悔するフラグだけど平気なのだろうか。
「ニンゲンさん!今日のおつまみは何ですか!」
つまみじゃないよ、おかずだよ。
「スコッチエッグ」
自分で答えておいて、確かにつまみみたいなおかずだったなぁと思ってしまう。
「宿主殿、某卵は大好きでちて」
狐が意地らしくも自分の皿を差し出してくる。
キミには一つ多めにあげましょう。
「あー!ごんちゃんばかりズルいです!ボクもおつまみ好きなのです!」
そりゃビール4本も飲んでたらつまみも欲しくなるよね。
仕方ない、半分に切って増やしてあげましょう。
「ニンゲンさん、やることコスいですねぇ」
黙りなさい、牛。卵抜くわよ。
「それ。ただのメンチカツじゃありません?割とメンチって胃にくるんですよね」
止めなさい、悲しくなるでしょう。
「ほら、みんな席に着くー」
ちゃぶ台を出して、各々の定位置に着く。
『いただきまーす』
みなでそろって手を合わせる。
考えたら大所帯になったものよ。
炊飯器の蓋を開ける。閉める。
バレてない、バレてない。
背中に嫌な汗が流れる。
「ニンゲン?お米はまだですか?」
悪魔の無垢なる問いかけ。
白状するしかないか。
「……ご飯、炊き忘れた」
『……えっ?』
今日のご飯はスコッチエッグ。
「ニンゲン!ご飯!」
ガマンですね、今日は。




