悪魔がウチにおりまして・242
ウチには悪魔がいる。
何やらタブレットをスワイプしている悪魔が。
雨の日の昼下がり、悪魔がごろりと仰向けになりながらタブレットを見ている。
顔の上に落としても知らないよ。
「ねぇ、ニンゲン」
「なに?悪魔」
「やる気ってどこで売ってます?」
なるほど、こやつは遅く出た五月病だったのか。
「それ売ってるなら私もほしいよ」
なんなら貯め買いします。
「ですよねぇ。モバイルバッテリー鼻に差しても効かないでしょうし」
うん、相当やる気がおさらばしているようだ。
「良いんじゃないの?無理にやる気なんか出さなくても。今日は休みでしょ」
悪魔、返事なし。
コイツ、サボったな。
「メカちゃんに仕事行ってもらってます。いちごミルク、3リットルで手を打ってくれました」
高いんだか安いんだか分からない買収である。
「なら尚のことゆっくりしたら?メカクマならきちんと働くでしょ」
なんならこいつよりもスペック高そうだし。
「それは良いのです、サボりとはそういうもの。でもニンゲン。ボクのやる気がこのままオサラバしていたらどうなると思いますか」
どうと言われましても。
「きっとボクはお菓子とココアだけで生きていくのです。毎日akumazonに本を頼み、押し入れが本ばかりに。それでも良いというのですか」
「ちゃんと入り切る分なら」
一応押入れの家賃貰っている以上、文句は言いません。
「良いのですか。ボクは毎日ブログを書きます。そのインプレッションがうなぎ上りこいのぼりです」
語呂は良いんだが、意味が分からん。
「要するにしゃんとしろって言われたい?」
「そうなのです、このままでは堕落する側になってしまうのです」
変なところ真面目よねー。
「そうねー。ちゃんとしないと、お米1ご」
「今から仕事してきます!」
私の言葉の途中で悪魔は畳に突っ込んで行った。
そこまで嫌か、ご飯減らされるのは。
クモがするすると降りてきてふぅっとため息を吐く。
なぜか私に糸玉をくれるのだった。
ウチにはクモが。
「それ、いただけません?お礼は払うので」
羊がひょっこり顔を出す。
高くない!?
クモは満足げに頷いた。




