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悪魔がウチにおりまして・241

ウチには悪魔がいる。

全身毛むくじゃらの悪魔が。


「ただいまですー」

いつもの呑気な声で家に帰って来る……悪魔?

「ニンゲン、どうしたですか?」

声を聞くと、限りなく悪魔。

でも見た目がトイプードルみたいな刈り方されてますけど?

「ミミ殿、毛を切ったのですね」

悪魔と付き合いの長い狐は動じることなく墨を擦っている。

「最近暑いですからー。どうですか、ニンゲン似合いますか?」

似合うかどうかと聞かれても生物から変わったようにしか見えんからな。

「おや、ミミ君。あなたも毛を?」

続いて畳から生えてきた羊……ですよね?あなた。

「あー、ヤギさんもさっぱりしてー」

畳から生えてきた羊は毛が全くなく、それこそヤギと言われても納得する風貌である。

なんなら角も無いし。

「夏ですから。外回りも増えて毛も重くなりましたので」

そんな衣替えレベルで毛刈りをされましても。

「こんにちはー、アレ、やっぎーイメチェン?」

続いて畳から生えてくるは神ちゃん。

じーっと羊を見ている。

「どうです?さっぱりしたでしょう?」

羊が微笑みながら近寄るが神ちゃん無表情。

「私、ボーズ嫌いなんだよね」

ピシリと空気の凍る音がした。

「……え?」

「やっぎーはふわふわのもこもこだから好きだったのにー」

神ちゃん、目がマジだ。

ていうか、羊のパーソナリティ、毛だけ?

「そんな、せっかく涼しくしたというのに」

「全然いいと思うよー?うん、やっぎーかっこいー」

棒読みにも程があるぞ、この神ムスメ。

「えっと、えい!」

羊は自分のヒヅメを咥えながら頬を膨らませる。

するとみるみる毛が生えて、普段通りの羊に逆戻り。

「こ、これで、どうでしょう」

おっかなびっくり神ちゃんに聞くとにっこりとほほ笑んだ。

「やっぎー、かわいいー!やっぱりふわふわだぁ」

神ちゃんは羊に抱き着くと毛に顔をうずめている。

「今日、パパとご飯なんだけど、一緒に来る?」

「は、はい!お供します!」

背筋をシュッと伸ばす羊。

この修羅場ハシゴをする哀れな羊に幸あれ。

神ちゃんは羊の手を引っ張り畳に消えていった。

「……えいめん」

「アンタが言う!?」


ウチには悪魔がいる。

十字を切り、羊の幸いを祈る悪魔が。

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