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悪魔がウチにおりまして・24

私は異世界に居る。

ここは、どこだ?


狐に連れられて樹の穴に入ると、そこは温泉宿でした。

社と言っていたため、てっきり神社を想像していたのだが、通り抜けてみるとアニメの世界にあった温泉宿さながらのきらびやかな場所であった。

「ごんのすけさまー。お早いおかえりでー」

一行に気付いた小さな狐たちがぴょんぴょん跳ねてお出迎え。

可愛いかよ。

「お前たち、帰ったわけではないのです。かか様に急ぎ伝えねばならぬことが。客人をあないせよ!」

舌っ足らずな話し方は変わらないが、凛としたたたずまいで指示を出す狐。

「さ、皆さま。わらべたちに付いていきましょう」


世界観に付いていくことが大変ながらも最後尾を歩く。

狐、悪魔、クモ、私。

時たま悪魔が親しげに話す姿や、クモを拝んでいる狐が居るのは謎。

しかし居心地が悪い。

私を見てはこそこそ話している狐が目の端に付くからだ。

何を言っているのか聞こえはしないが気持ちいいものではない。


案内された舞台のような場所には椅子が3つ並んでいた。

「こちらです。今かか様を…」

「もうおりますよ」

誰もいない場所から声が聞こえる。

煙がしゅるしゅると集まるとそこに白い狐が四つ足で凛と立っていた。

「権之助。あなたこんなにも早く帰ってくるなんて。そんなに寂しかったの?」

「かか様、違うのです。急ぎお連れちたい方がおりまして」

1匹前に立っていた狐が場所を譲ると、白狐の視界に私たちが入ったのだろう、目を細める。

「おや、久方ぶりの悪魔の仔。賽の君は息災かしら?」

「さいのきみ?」

白狐に声をかけられた悪魔は分からない様子で首をかしげる。

そのことに気に掛ける様子もなく、白狐はクモに視線を移す。

「おや…珍しい子」

「そうなのです。この方をおらせいたしたく!」

狐は胸を逸らして紹介をする。

当のクモはおずおず頭を下げる。

「かわいい子。なかなか入れる門ではありません。励むのですよ。お帰りの際にはよろしくお伝えください」

白狐はにっこり微笑むと、クモは恭しく頭を下げる。

「それでは、修行を続けます!」

狐はぺこりと頭を下げて立ち去ろうとする。

私はおまけだから、と振り向いて帰ろうとすると背後から声がする。

「権之助、あなたもまだまだですね。その方を見抜けないなんて」

白狐はクスクスと笑い、こちらをじっと見る。

「この方、ニンゲンではありませんよ」

人間ですけど!?


私は異世界に居る。

勝手に人外扱いしてくる狐のいる、異世界に。

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