悪魔がウチにおりまして・239
ウチには悪魔がいる。
……あなた、悪魔よね?
「にんげん、ドウシタデスカ?」
悪魔が押し入れから出てくる。
うん?
開口一番どうしたですか?
アンタがどうしたのよ。
「別ニドウモシマセン。コレカラ仕事デス」
いや、違和感は無いんだけど、違和感しかない。
なんて言うの?ファミレスで間違い探しに夢中で料理冷めるまで放置している人見た感じ?
「悪魔、今日のご飯なにがいい?」
悪魔は腕を組んで考えている。
「ソウデスネ、久シブリニ納豆ヲ食ベタイデス」
「お前誰だー!」
違和感が確信に変わる。
「ぼくデス。にんげんノ目ハ節穴デスカ?」
この憎たらしさは悪魔そのものだ。
だけど!
「悪魔が納豆を納豆っていうわけないでしょ!」
しょうもない理由で判明したことが悔しくもあるが、いまだに悪魔は腐り豆って言っていたことに感謝だわ。
「バレちゃいましたかー。ちゃんとインプットしたのにー」
押入れから悪魔が顔を出す。
アレ?てことはコイツ何?
「未ダニ正確ナ名前ヲ覚エナイノハぼくノ悪イくせデスヨ」
「良いんです、伝わるので。ねー、ニンゲン」
「正座、説明」
人差し指を床に差し、悪魔2匹を正座させる。
うむ、怯え方までそっくりである。
「ロボット?」
「ですです」
悪魔が言うのはこのそっくりな生き物は悪魔の作ったロボだった。
以前クモのロボを作ったときはメカメカしかったのだが、今回はそれを改善。
限りなく本体に近い形にすることに成功したようだ。
「でも、AIが勝手にボクから離れていくのです」
「アナタ、物ノ名前チャント覚エナイカラデショウ」
ロボのほうがやはり高性能か。
「アレ?ミミ君が2人?」
ひょっこり現れた羊は目を擦っている。
「ヤギさんー」「羊サンー」
うん、ロボのほうが高性能だ。
説明終了。
「なるほど、こちらの私の名前を覚えないほうがロボですね」
くっきりと羊が頭に怒りマークを浮かばせながらロボを小突く。
カン!と良い音がする。その場で羊はうずくまった。
「ちなみに、コレどうするの」
「代わりに出社させます」
「アナタガ行キナサイ」




