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悪魔がウチにおりまして・237

ウチには悪魔がいる。

いつも突飛なことを言い出す悪魔が。


「ニンゲン!ゾンビになりたいのです!」

えっと、明日の資料をまとめてっと。

「そんな露骨なムシありますか!?」

キレイにムシしたことに目を丸くする悪魔。

「ちょっと良いですか!最近ボクに対して扱い雑じゃありませんか!」

両手をぶんぶんと振りながら訴えるも、その行動は普段の態度を考えると可愛さなど微塵も感じなかった。

「好き好んで腐りたいという意見など却下です」

ただでさえ、これからの季節を考えると傷むことが早いのだ。

そう言えば、昨日が賞味期限の牛乳はまだ飲めるだろうか。

「ニンゲンはゾンビのカッコよさを知らないからそんなこと言えるのです!」

知らなくてよかろうなのだ。

「コレを見るのです!」

悪魔はタブレットを取り出すと、動画を流し始めた。

「ナニコレ」

「ゾンビ・オブ・キングです!カッコいいのです!」

あっちの映画かな?と思ったらこっちのB級映画だった。

一言で言うなら、ゾンビが主役のハードボイルドである。

アクション有り、コメディ有り。

キメ台詞は「オレにホレると腐っちまうぜ」

様になっているんだか、なっていないんだかわからないが、登場人物たちはその台詞で目をハートにしている。

解せぬ。

「どうです、カッコいいでしょう!」

「悪魔、ごめん。どこをカッコいいと思えばいいのか……」

「なんですと!?」

悪魔はアゴが落ちんばかりに口をかっぴらく。

「ニンゲンには男のロマンがわからないのですか!」

いうて女ですし。

アンタも地雷子モードの見た目は女でしょうが。

「くぅ!ニンゲンには早すぎたのです!この、自分の腕をちぎって2倍伸ばしてヒロインを救う感動シーンがわからないのですか!」

どう考えてもシュールギャグシーンなんだよなぁ、それ。

ふと、この前ゲームをやった後もゾンビになりたいと言っていたことを思い出す。

「前もウィルス欲しがってなかった?」

その言葉に悪魔は笑い出す。

「ニンゲン、まだそんなこと信じていたんです?子どもですねー」

また教育的指導が必要かと思ったが、その表情は寂しそうだった。

仕方ない、ここは折れてあげよう。

「いつかゾンビになれるんじゃない?」

「ですよね!ニンゲンもカッコよさがわかりましたか!」

「それはない」


ウチには悪魔がいる。

ゾンビのカッコよさを否定され、ガチへこみしている悪魔が。

ごめんて。

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