悪魔がウチにおりまして・235
ウチには悪魔がいる。
先ほどからポテチを食べ続ける悪魔が。
「ニンゲン、やる気が起きないのです」
エンドレスポテチ8袋目になり、やっとこちらに声をかける悪魔。
「さっきから食い気はあるじゃない」
「それは詭弁です。生きるための行為にやる気は必要でしょうか、否!行動するために食べることは罪でしょうか、否!ボクが買ったものを食べることは許可がいるでしょうか、否ぁ!むきゅう」
ごめん、あまりにも普段とテンションがバグってて、つい。
私の絞め落としにやられた振りをしているときに羊が生えてくる。
慌てて角を取り外す。
「もしもし、警察ですか?殺悪魔です!ええ、目の前でシめられました!」
羊がコントを始めると、悪魔がむくりと起き上がる。
「そうなのです!なんの罪もいわれも無いのに、ぎゅーって!」
「被害者もこのように申しております!……え?生きているなら関係ない?ミミ君、もう一回絞められて!」
「あいさー」
あいさーじゃないんよ。
絞めませんからね。
「で、ニンゲンさん。なぜミミ君をしつけたのです?」
角を頭に戻しながら尋ねてくる。
なんのかんの言って、悪いのが悪魔とわかっているのは好感が持てます。
「この子、やる気が無いからってポテチやけ食いしてて」
「ニンゲンが悪いのですー。ボクのお金で買ったものをいつ食べようと民主主義なのですー」
壊滅的に民主主義の使い方が間違っている悪魔を放置し、羊は腕を組む。
「つまり、ニンゲンさんはポテチを分けてほしかった、と?」
私は黙って羊の角にスリッパを差した。
ええ、マイブームです。
羊は訳も分からず首を傾げている。
「ニンゲン、うすしおでよければ上げるのです。コンソメはダメです」
悪魔の頭にふたつスリッパを差す。
アンタは意味を知っているでしょうよ。
そんな時にクモがもじもじと降りてきた。
何か言いたげ、だけど言葉は分からない。
じっと2匹の頭に乗ったスリッパを眺め、その次に私の顔を見る。
……まさかね?
そっと頭にスリッパを乗せると嬉しそうに跳ねて登っていった。
そのセンス、分からん!
ふと視線に気付く。
うぱが物欲しそうに見つめているのだった。




