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悪魔がウチにおりまして・232

ウチらはウチに居る。

地獄旅行から帰ってきて2日目です。


朝もはよから狐がタイプライターを引っ張り出してぱちぱちと文字を打っている。

「狐ちゃん、よくそんなもの持っていたわね」

宿主やどぬち殿、何を言ってますか。このたいぷらいたーは2021年版の最新式さいちんしきですよ」

タイプライターの進化なんてあるの?

「いんたーねっとに繋がっています」

……意味よ!

狐はメガネをくいってして再びタイプに戻る。

「何書いてるの?」

「地獄研修の報告書です。事務方というのはなぜこうも自分のお仕事ちごとを優先ちてもらえると思っているのでしょう」

そっちでもそういうしがらみあるのねー。

知りたくなかったわー。

「狐ちゃん、お茶いる?」

「かたじけない」

ぬるめのお茶を煎れ、狐の目の前に置く。

「狐ちゃんも大変ね、いろいろやることがあって」

狐はお茶をずずっと飲んで一息ついた。

「タヌキの手も借りたいくらいです」

「呼びましたか」

畳からモグラが生えてくる。

狐がちらりと見て、スルーする。

「呼びましたか。呼びましたか。呼びましたか」

狐の反応がないことを聞こえていないと思ったのか、徐々に、だが確実に距離を詰めてくるモグラ。

今は狐の耳にモグラの鼻がくっつくほど近付いている。

怖いって。

「タヌキの手も借りたいと言いました」

「……やはり狐とちてみたら、同業他者の手は借りられぬかと」

「そうですか」

短いやり取りの後、モグラは素直に畳の中に帰っていった。

「……ぽんちゃん、相変わらずですね」

「そっか、悪魔と狐ちゃん幼馴染だっけ」

どういう経緯で知り合ったのかは謎である。

むかちから2人は自由でちて。少ちうらやましいと思っておりまちた」

狐はメガネを上げながらタイプを続ける。

昔からきちんとするようにしつけられていたんだろうなぁ。

頭をぽんぽんと撫でてみる。

一瞬ビクッとしたものの、そのままタイプを続けた。


ウチには狐がいる。

ここでは子どもでいいからね。

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