表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/1139

悪魔がウチにおりまして・231

地獄巡りの帰り道。

火の車で送り届けてくれるそうな。


いつの間にか牛は合流していた。

どこに行っていたのかなど野暮なことは聞いていない。

何を話したかは気になるけどはぐらかすだろう。

帰りのバスにはお歯黒ではなく閻魔が乗っていた。

「なんで?」

「たまには羽を伸ばしたくて。どうせ帰ったら罪人の判を押す仕事に戻るのだから」

ずいぶんと呑気な閻魔様も居たものである。

「えんちゃん、こっちに遊びに来るのですか?」

悪魔はさきいかを頬張りながら閻魔に尋ねる。

相変わらず、距離感のおかしなことで。

「そうしたいのはやまやまだけど、均衡が崩れちゃうから」

閻魔は頭の後ろで腕を組むと伸びの体勢で座席をリクライニングする。

本当にサボりに来やがったみたいだ。

「そういう体勢になるということは、ミミさん、ヤギさん!手足を掴むのです!」

「え?なになに?」

牛の号令と共に悪魔と羊が閻魔の手足を羽交い締め。

牛は下劣な笑みを浮かべながら手に持っているあるモノの蓋をきゅぽんと開けた。

「このようなところで油断したのが運の尽き……。地獄の当主たる自覚が足りません」

待って、牛。

その手に握られているのは、まさか!

「さぁ、おでこを晒すのです。三つ目になるがいいか、肉がご所望か。それくらいの選択は差し上げましょう」

牛は油性ペンを閻魔の目の前で振ると、額に近付けていく。

「く……。悪魔め!」

「誉め言葉です。選ばぬということは、両方がお望みのようですね」

「や、やめろぉ!」

閻魔の断末魔が響く。

宿主やどぬち殿、こぶちゃ飲みます?」

狐、キモ太いなぁ。

「ウーロン茶はない?」


「地獄観光ありがとうね、また来てくれると嬉しい」

額に留まらず、顔がインクで真っ黒に染められた閻魔が笑顔で手を振る。

器、大きすぎるでしょ。

「頑張って地獄も良い地獄にするからねー」

良い地獄とは一体なんだろうか。

「しかし牛、あれはやりすぎでしょう」

「昔、全身の毛を刈られた分ですので」

……。

牛さん!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ