悪魔がウチにおりまして・23
ウチにはたくさんの動物がいる。
さぁて、今回のお友達は?
少々やけっぱちになってしまったが、実際動物が増えすぎである。
謎生き物悪魔を筆頭に、羊、クモ、今度は狐。
それでいて今の状況はクモにおののく狐でしょ?
もはや、意味が分からないのです。
「あ、あなた様のようなお方が、なぜこのような寂れた場所に…」
ご挨拶だな、この狐。
「ごんちゃん、この子がどうしました?」
「みみみ、ミミ殿!このお方は何故こちらに…?」
「この前お仕事帰りに道で泣いていたので拾いましたー」
「拾った」
狐の目が点になるなんて、なかなか拝めるものではない。
そう言う当事者のクモは何やら黙ってて欲しそうなジェスチャーをしているが、悲しいかな言葉を発せない身。
暴露大会に、人権はないのだ。
…そもそも人は私だけか。
「えと、この方をそれがちが社にご案内いたちたいのですが…」
「いいですよー。クモ、行こー」
ご勘弁というように前脚をばたばたと振っている。
しかし悪魔にひょいっと抱えられてそのままデリバリーされることが確定した。
…面白そうだ、ついていこう。
服を速攻で着替えて玄関を出ると、目の前にサビ柄のネコが鎮座していた。
じっとこちらを見ている。
ネコは「見える」というから、もしかしてこの子たちのことも見えているのかも知れない。
急に興味を失ったようにフイっと歩いていく。
気にしても仕方ないか。
「ご案内いたちます。こちらへ」
狐の案内で道を進み、交差点を渡り、近くの小山へ歩いていく。
クモは観念したのか暴れるのをやめている。
単純に疲れただけなのかも知れない。
「懐かしいですねぇ。丸太割りした滝はまだあるのでしょうか」
悪魔さん、それ遊びじゃなくて修行。
「まだありますよー。宿主殿、ご一緒に丸太割りでもなさっていきますか?」
なさいません。それにその呼び方、意味変わるし。
「こちらです。それがちと同じ所作を」
狐が足を止めたのは、太い樹の前。
その場で手を合わせてぺこりとお辞儀2回パンパンと手を叩き、再びお辞儀。
俗にいう二礼二拍手一礼だ。
倣って私と2匹も同じ所作をすると樹の幹が開いていく。
「さ、もうすぐですよ」
ヤバイ雰囲気しかないから帰っていいですか?
ウチの町は異世界に繋がっていた。
…そもそもウチから悪魔が出てきていたか。




