悪魔がウチにおりまして・227
地獄復興会議開始いたします。
いや、復興って。
今夜のお宿に到着。
看板にはデカデカと「蜘蛛乃糸」と書かれている。
クモ、大興奮だよ。
「到着でーす。本日のお宿です。お荷物を亡者に預けたら宴会場までお越しくださーい」
預けて平気なの!?
「亡者さん、お願いします。ボクはカチカチの間ですー」
「私はおすもうの間みたいです。牛さんと同じ部屋ですね」
「……偶蹄類でまとめられましたか、そうですか」
牛、不満なんだ。
ちょっと面白い。
各々荷物を預けて宴会場ダイレクト。
既に料理は並んでおり、テーブルの中央には大きな鍋と長い箸。
「さぁ、地獄名物飢え鍋です!」
お歯黒さん、短い箸ください。
「コレがウワサの……ひとりじめはできない、修行の鍋!」
悪魔、手づかみでいきそうな気がするのは気のせい?
なぜかクモが足元でそわそわしている。
「どうしたの、クモ?」
「クモちゃん、ココならカンダタさんに会えると思ってるんですー」
まぁ、宿の名前「蜘蛛乃糸」だからね。
「おや?カンダタさんに会いたいので?呼んできます?」
居るんかい。
クモはぴょいぴょい跳ねて嬉しそうだ。
「お願いします。そして短い箸も」
羊、ナイス空気読めない!
「どうも、カンダタです」
出てきた男はずんぐりむっくりの無精ひげを生やしていた。
クモ、見るや否や嬉しさのあまりに飛びつく。
「おや、クモですね。その節はどうも」
カンダタはクモを引き剥がし頭を下げた。
「お知り合い?」
「全然。でも、クモ族から慕われてるのです。ほら先祖救ってますし」
確かに作品上ではそれでクモの糸を登るんだっけ。
「でも、糸が切れて地獄に戻ったって」
「そうなんですけど。亡者たちとどつき合いしてたら気が合いまして。全員ノしたらお頭みたいになってて。食い扶持探すために旅館なんぞ始めて。人生、生きてると何があるか分かりませんな」
ツッコまん、ツッコまん。
「死んでますよね、あなた」
牛ー!だまらっしゃい!
「そうでした、あっはっは!」
意外と明るいぞ!?
「カンダタさん、短い箸を」
羊!そこは空気読んで!
空気読めない羊がいた。
お陰で満腹です。




