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悪魔がウチにおりまして・226

第一の観光スポットー……。

ちゃう、ここ地獄だった。


「みなさーん、左手に広がるのが灼熱地獄でございまーす」

お歯黒は皆の視線を左に促す。

灼熱地獄。

地獄の業火と言われる高温の炎が罪人たちを燃やす、割とメジャーな地獄のひとつだろう。

「黒いです」

悪魔が代表して言ったとおり、見渡す限りの黒焦げ平野。

火の気は全く見受けられないのですが。

「いやー、燃料費上がってしまって。この地獄素通りの罪人が増えたせいで炎維持するのも馬鹿にならないお金が」

割りばし無くなった燃えるゴミみたいな言い方するなし。

「途中下車して灼熱地獄の灰、袋に詰める体験もできますが」

甲子園じゃないんだから、思い入れの無い灰なぞ結構です。

「せっかくなので私、ひとつまみ欲しいです」

羊が手を上げていそいそとバスから降りる。

「あっつ!?地面あっつ!」

「そりゃあ普段焼いてますから。熱逃げないんですよねー」

羊がぴょんぴょん跳ねてローストになる前に上がってくる。

「ふう、むしろこの熱に耐えられる袋のほうがすごいのでは?」

「さぁ、次の地獄にまいりましょう」

しげしげと袋を眺める羊。

スルーするお歯黒。


続く地獄巡りもそんな感じだった。

針山は手入れ不足で針が細くなり、血の池は水位が下がっていた。

餓鬼地獄は罪人の数が少ないせいかみんなそれなりにお腹を満たしていた。

出すなよ、食事。

「お歯黒さん、地獄って不況なのですか?」

悪魔、ここに来ての敬称呼びは結構えぐるものあるからな?

「そうなんですよぉ。なんか最近すっごいヤバイって人減って、みんな無難に過ごすせいで堕ちてこなくて」

よよよ、と泣かれましても。

実際、観光ツアーもこれじゃね。

「由々ちき事態です」

狐が腕を組んであぐらを掻く。

「なんで?悪人減るなら良い事じゃない」

「それはですね」

……長かったのでまとめると。

地獄が破綻すると、しわ寄せで現世に悪人が増えるんだって。

で、地獄が無いからそのまま現世に留まる。

結果現世と地獄が混ざるってさ。

「なので、このままでは宿主やどぬち殿も……大丈夫かもちれませんが」

おーい、そこはニンゲン扱いしろー?

「仕方ないのです。みんな!ひと肌脱ぐのですー!」

『おー!』


すっげえ嫌な予感しかしないよ?

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