表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/1131

悪魔がウチにおりまして・221

「ねぇ、メノ。なんかチャーハン臭くない?」

ごめん、悪魔しばいておいて。


唐突にお姉がウチにやってきた。

それは構わないのだが、モグラがじーっとお姉を凝視している。

「この子、会ったことあったっけ?」

お姉が忘れているなら私も知らない。

多分会ってないってことで良いんじゃない?

「初めまして、ぽん吉といいます」

意外と礼儀正しく頭を下げる。

「ぽん吉?」

「あい」

「モグラよね?」

「タヌキです」

お姉は鏡を差し出す。

「タヌキです」

鏡に一瞥をくれるとそのまま私に流してくる。

「タヌキかぁ。メノ、変なのに好かれるわね」

本人目の前に変なの呼ばわりもなかなかだと思いますが。

「ニンゲン大。結構無礼なんですね。さすがニンゲンの姉妹です」

それって私に失礼じゃない?

「ボクは帰ります。変な気配がして見に来ただけなので」

そう言うとモグラは帰っていった。

「あらあら、帰っちゃった」

「お姉。いくら何でも初対面の子にアレは無いんじゃない?」

いくら自分をタヌキと勘違いしている子でも、ああもあしらって良いものじゃ…。

「メノ、あんた感覚狂ってる自覚ある?」

「え?」

「いくら害が無くみえてもあいつらは魔の者。本来ニンゲンを貶めるものだよ?それを受け入れすぎじゃない?」

お姉の言葉に少し胸が痛くなる。

余りにもトンチキなので忘れていたが、こいつらは一応悪魔。

動物園のふれあい農場ではないのだ。

「別に一緒に暮らしていることに文句はない。危害もなさそうだからね。でも、油断してると……」

「あー、ニンゲン姉!どうしたんですかー?」

ばっちりなほどにタイミング悪く悪魔が帰宅。

「美味しいたい焼き見つけたから買ってきたのよー?」

なんですと!?

「ほえ?……まさか、その包み紙は!」

悪魔、包み紙だけでプチ歓喜。

「さすが。そうよ、お目で鯛の十勝あずきよ」

さっきまでの真剣さはどこへやら、お姉はたい焼きを取り出した。

ひーふーみー。たい焼きは7つ、さては。

「増えてるなら言ってよー。あの子の分無いから追い返しちゃったんだから」

それでモグラにあんな失礼な態度取ってたの?

「はふはふ。ぽんちゃん来てたんですか?」

「私の分置いていくから、あの子にあげてね。……メノ、さっきのこと忘れずに」


去り際の一言は、たい焼きの味を分からなくさせるのに……美味し。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ