悪魔がウチにおりまして・217
ウチには悪魔がいる。
時たま暴走気味になる悪魔が。
「へい、ニンゲン!アニメで悪魔が主役のストーリーが無いのはどういうことだい?」
「おう、ディアフレンド!確かにコレは理不尽だ!」
ディアフレンドの悪魔が世の中の不条理に嘆いている。
こいつは世界を懲らしめないといけないぜ!
「ディアフレンド、後ろに乗りな!」
私の愛車をガレージから引っ張り出すとフレンドにヘルメットを投げた。
「ニンゲン!コイツはじゃじゃ馬のマウントサイクル!聞かん坊でもう乗らないとマザーに誓ったんじゃ!?」
「マザーとの誓いより大切なものもある……。それはフレンドが泣いているとき、さ」
「に、ニンゲン!」
私は葉巻型クッキーをかじる。
ディアフレンド、泣くのはうれし泣きだけ。そう約束しただろう?
私は自転車に脚をかけて、フレンドを背中に感じるとペダルを踏み抜いた。
「ニンゲン!どこに向かおうと言うのですか!」
知れたこと。
フレンドを主役のドラマを流してもらうためにテレヴィジョン局さ!
「そこの二人乗りー。止まりなさいー」
間の抜けた声がパンダから響くぜ。
サイドミラーを見ると走らせているのは牛のとっつぁんじゃないか。
「緊急事態だ!権力に魂売った歯抜けは黙ってな!」
「それ、牛差別ですよー。とりあえず、止まらないと撃ちまーす」
シット!
警告した瞬間からハジキを飛ばしやがる!
「ニンゲン!捕まって、1週間おやつ抜きになってしまいます!素直に投降しましょう」
涙を浮かべるフレンドに私は優しく諭す。
「フレンド……。簡単にあきらめちゃ、夢はつかめないぜ。ほら、助っ人だ!」
目の前に縄梯子が降りてくる。
「まったく。こんなことで私を使うなんて。高くつきますよ」
ヘリコプターに乗った羊があきれ顔だ。
「羊子ちゃん。相変わらずタイミングばっちりだ!」
私はフレンドと梯子を掴む。
「どこまで送れば?」
「そうさなぁ」
「このまま、世界の果てまでですー」
私とディアフレンドの旅は、まだまだ終わらない、ぜ!
「という夢を見ました」
「途中で殴りたくなったんだけど」
「私、とっつぁんポジなの熱いですね」
「なぜ、私がセクシー担当なのですか?」
今日のご飯も平和である。
ちなみにクモと狐、拗ねてました。




