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悪魔がウチにおりまして・209

はい、修行終わりだよー。

帰るよー。


「皆さま、ご苦労様でございます。お口に合うか分かりませんが膳を用意いたしましたので」

今私たちはザリガニの……というか、ネズミの家だろうね。

そこにお邪魔してご飯頂いてます。

「お花、皆の分まですまないね」

「いいえ。亭主の大切な方に召しあがって頂くには粗末な物ばかりで……」

そうは言うがネズミよ。

一膳に一匹おかしら付が乗ってるんですけど?

「皆さまに板が挨拶をしたいと申しております」

ネズミ、襖を開けると控えていたねじり鉢巻のネズミが深々と頭を下げている。

「今回の料理を取り仕切らせていただきました、文字もんじと申します。若さま、並びにお嬢さまのご友人にお出しできるせめてもの膳でございます。ご賞味ください」

ザリガニ、マジで逆玉じゃないですか。

このお花さん、どれだけいい家なのよ。

「ありがとうございますー!」

悪魔は器用に箸を使って大豆の煮物を口に運ぶ。

ヒヅメよ?何気にすごくない?

文字もんじ、腕を上げまちたね」

狐はずずっと汁をすすりながら板さんを誉める。

あんた知り合いかい。

「権之助さまにも召し上がっていただけるのは幸せでございます」

大げさにも板ネズミは懐から手ぬぐいを取り出し涙を拭う。

「かか様のところから独立ちて、良家のお抱えになると聞いた時は寂ちかったですが、元気でやっていて何よりです」

そこそこいい話。

というか普通の食事の情報量の多さよ。

高野豆腐、美味し。

「このような卓を囲むのも良いですね。板さん、土産を用意いただけますか?」

この羊、食材にされない?

「土産、でございますか?」

「ええ、ハイカラな相手ですので少しばかり味濃いめに」

狐はじっと羊を見て、満足そうに汁をすする。

「あ、ウチにもふたつください。わりと余りでも構わないので」

「ニンゲンー。ふたつも食べるのですか?太りますよ?」

悪魔がちゃちゃを入れる。

片方はアンタが拾ってきたクモの分だよ。

「かしこまりました。手早く済ませるつもりですが、お時間をいただきます」

板ネズミは頭を下げてスッと下がる。

走っていった足音がするので急いでくれたようだ。

まだ夕暮れ時。

お腹を空かせたクモと、横になっている牛に美味しいご飯を持って帰らないと。


狐の修行、これにて閉幕。

祈祷の効果、有ったんじゃないの?神ちゃん。

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