悪魔がウチにおりまして・204
ウチには小動物がたくさんいる。
今日、やさぐれたのはどいつだ!
「某、最近影が薄くないでしょうか」
皆でお昼を食べている最中、狐がふとつぶやく。
とりあえず、口から垂れているおそばをすすりなさい。
「ごんちゃんが?そんなことあるわけないじゃないですかー」
悪魔はずずっと汁をすすりながら答える。
そうだよー、あんたが影薄いなら喋れないクモやうぱ、どうすんのよ。
ちなみに2匹、熱いそばは苦手のようでつけそばです。
「そうでしょうか。きゃらくたーが弱くありませんか」
狐、神さま系、地主、ビルオーナー。
これだけ属性あってキャラが弱いって言ったら私なんて雑草よ、雑草。
「くちゅん」
「ニンゲン、遅い花粉症ですかー?」
なんだよ、それ。
悪魔がティッシュを箱ごとよこしてくれた。
ありがたくちーんします。
「周りにはミミ殿や、ヤギ殿。最近は兎田殿など、濃いきゃらくたーの方々が溢れています。このままでは某は皆に忘れ去られ、権能が落ちてちまいます」
なんでも、神さま系の力の源は信仰によるもので、人から敬われたりしてもらうと成長に繋がり、忘れ去られるとひっそりしていくらしい。
アイドルみたいだな、神さま。
「呼んだー?」
洋が違う神ちゃん登場。
この子、敬って貰えているのだろうか。
「西の神はちょっと仕組みが違うのです」
よかったね、神ちゃん。
「メノメノ、私もおそばー。食べられないと、無礼な気配で暴れるかもー」
あっさり脅迫をするんじゃない。
羊の分、あげちゃいますか。
そばをすすっていた悪魔がカッと目を開きサッシを開けた。
このパターンは。
予想通り飛んできた矢をハシっと掴んで汗をぬぐう。
ええい、カカト落とし!
「に、ニンゲン!これはヤギさんじゃないのです!飛んでくる気配を悟っただけなのです!」
疑わしきは罰せよ、以前やっただけでギルティです。
しかし、その結わえ付けられた紙に反応したのは狐。
「……こ、これはかか様からの文!」
ごんちゃんママ、危ないことはご遠慮いただきたい。
「珍しいわね、なんて?」
そういえば4か月くらい会ってない気がする。
狐はごそごそ文を開く。
「『修行に帰っておいで、まま』ですって」
あの白狐、自分をママって言うのかー。
ウチの狐は急に里帰りです。
なんか、強制連行の香りがします。




