悪魔がウチにおりまして・195
ウチには神がいる。
そろそろ帰れ、問題児。
「では某は縁繋ぎの祈祷をちてまいります」
狐は恭しく頭を下げると玄関から出ていった。
どうやら仕事はこっちの世界ではできないらしい。
「ごんちゃん、がんばですー」
「ごんごん、お願いねー」
この神も多少ヒヤッとする言葉を吐く。
「ところでー。なんで神と悪魔が仲良しなの?」
状況が落ち着いたところでお姉が2人に聞く。
このタイミングで、全員が気になっているところに踏み込むお姉もいろいろ読めていない。
「きっかけなんでしたっけー?」
「たしかミミちゃんが私を殺しに来たんじゃなかった?」
聞き流せ、聞き流せ。
「神殺しとは楽しい話を。コレは良いツマミになりそうです」
牛ぃぃぃ!?
あろうことかビール持ち出すんじゃないよー!
「あー、そうです、そうです!ボクがちょっとやんちゃで名前上げたいときに神ちゃんの領域にちょっかい出してー」
「そーそー。あんまりお痛するものだからマジジャッジメントしようとしたのよね」
目を丸くせざるを得ません。
牛はビール片手にジャーキーまで……牛!?ツマミのチョイス!?
「あの時はびっくりですよー。空間歪むわ、時間ねじれるわ。本当に死ぬかとー」
「こっちもビビったよー。普通逃げるか滅せるのに次々突破するじゃん?マジで滅ぼされると思ったわー」
笑いながら話す2人がどれくらいうヤバいか分かること伝えようか?
お姉が小声で「聞いてごめん」って私に言ってきたくらいだよ。
「つかぬこと聞きますが。なぜそれで仲良くなれますか」
『えー?強かったから?』
ハモるな、脳筋!
牛は2本目のプルタブを開ける。
早いんだよ、ピッチが!
「実際、一個師団攻めてると思ったら単体だったしー」
「ボクの方もてっきりラグナロクでもやっている最中かとー」
「ミミちゃん、それは違う土地ー」
言葉が出て来やしない。
クモがこっそり見下ろしてる。
おい、目を輝かせるんじゃないよ。
「で、どっちが強いんで?」
「私」「ボク」
ピシッと。
空気が割れる音が聞こえた、気がする。
ウチには化け物がいる。
その口喧嘩を肴に4本目開ける牛は今夜のおかずにしようかしら。




