悪魔がウチにおりまして・191
ウチには悪魔がいる。
給料のほとんどをおやつにつぎ込んでいる悪魔が。
「ニンゲン、しばらくお家賃減らしてほしいのです」
「いいよー」
謎減俸食らったと騒いでいた悪魔。
悪さしたならいざ知らず、社会の闇のとばっちりなら許してやらんことも無い。
「……えっ?」
「えって何よ」
悪魔は目を丸くして固まっている。
「だって、ニンゲンのことだから『どーせアンタが悪さしたんでしょ、ぷんぷん!』とかいって全額取るかと」
「そっかぁ、そんなにお金払いた」
「お言葉に甘えます!!!」
素直でよろしい。
「おや、ミミ君。どうしたのですか?謎にお給料減らされたような顔をして」
羊、それは発言としてメタすぎるんよ。
「ヤギさーん!はったおーす!」
悪魔はそのまま飛び蹴りを入れると、羊は片手で受け止めた。
「ふっ……この老兵、枯れても若造にやられるほどもうろくしておらんよ!」
「こざかしいヤツ!」
「やめんか、バカ者ども」
こういう時は両成敗です。
「に、ニンゲン!?いつもより痛い!」
悪魔が泣き言漏らしてますが知りません。
「ニンゲンさん、もう少し、なんというか……手心を」
羊、割とガチで涙流しておる。
「ドタバタしてたらクモが寝れないでしょー」
こいつらのドタバタが他の人に聞こえないのが悔しい。
クモはロフトから顔を出して手を合わせている。
やっぱり寝てたか。
「考えたら!クモちゃんも家賃払うべきです!ボクだけズルいのです!」
悪魔は地団駄を踏む。
「入れてるよ?」
「えっ?」
「クモ、狐ちゃんのところでバイトしてるから」
「えっ?」
本当です。
まぁ天井なので食費だけだけどね。
「……ボクも、おやつ減らすです。ちゃんと、払います」
「無理しなくていいよ?別にアンタ入れ無くても払えるから」
「いーえ!ボクのプライドが許さないのですー!」
最初居候してたときから比べて成長したなー。
ウチには悪魔がいる。
「ミミ君も成長ですねぇ」
考えたらコイツが一番ただ飯食べてない?




