悪魔がウチにおりまして・189
ウチには悪魔がいる。
布団から出てきませんが、何か。
「ニンゲン、なんでこんなにやる気が出ないのでしょう」
「食べすぎ」
昨日あれだけ、食べたらそりゃ気怠さも残ろうものよ。
具体的には3人でギリ10万に届かなかったくらい。
本当にギリギリ。
2桁の領域まで突入していました。
「無許可でシャトー頼んだ人に言われたくないです……」
根に持たないの、アンタも追加したでしょ。
「ちなみに感想は」
「美味しかった」
なら良いじゃないの。
「ニンゲン、こう見えてボクは庶民です」
いきなりどした?
「一食に10万使ったことなんて数えるくらいしかありません」
「庶民は一回もないのがデフォだよ」
「うぱちゃんもそう思いますよねー?」
逃げたな?
ちなみにうぱは今クモと上から見下ろしとるよ。
「ともかく!ボクは今やる気が起きないのです。そっとしておいてほしいのですー」
不貞寝もここまでくると問題なんだろうけど、どうせお休み、気にしても仕方ないか。
「ミミ君、またイヤイヤ期ですか」
羊がひょっこり顔を出す。
その表現は如何かなー。
「ヤギさん、実はニンゲンがかくかくかくかく」
せめてしかじか言いなさい。
「シャトー……。あの、名前は有名だけどほとんどの人が食べたこと無いので高級品としか分からないアレを」
羊、角が立つ。やめなさい。
「ちなみに私も食べたことありません」
無いんかい。
「ミミ君、私よりも良いモノを食べて、そんなにサボっていていいのですか?私も食べたことのない、良いモノを食べて」
羊が徐々に近付いて、枕元に顔を埋めている。
怖いって、近いって。
「や、ヤギさん?」
「高級なお肉は美味しかったですか?別に奢れとは言いません、なぜ私に声をかけなかったのですか?」
「羊、怖いって」
「兎田さんも一緒に居たのですね?後できっちり問いただしませんと」
やっばい。なんか変な地雷踏んだ?
「ミミ君、楽しい時間というものを独り占めするというのは罪深いのですよ。良いですね?」
「み、みー……」
「お返事は?」
「いえっさー」
今日ひとつ決めたことがある。
美味しい物を食べる時、羊には必ず声をかけるという事だ。




