カエル事変・詳細報告
・報告書類「カエル事変」
春期に群生する春カエル討伐時、明らかに人為的と思える落雷が発生。
発生理由の特定は既に住んでおり、ソロモン配下、二等悪魔「ミミ」による防衛であると確認。
特派員「兎田」の報告、及び現地住民の証言からも発生源は間違いない模様。
今回報告を上げた理由は以下の通り。
宝器「深翠の槍」による制限解除の使用是非確認。
春カエルの意図的繁殖行為の事実確認。
今回ミミに依る掃討で明確な個体数が測定不可能ながら、兎田、及び住民の証言。
そして落雷規模から鑑み、本来の生殖数を越える春カエルの個体数が推測される。
また行動も春カエルとは思えない知性を持った行動を取っていたことも確認できている。
・兎田の攻撃に対してまぶたを閉じる。
・ミミが背中を登頂中後ろ向きに倒れ込む。
以上の行動は視力が弱く、また痛点を持たない春カエルでは考えられない行動である。
またミミが居候しているニンゲンが現地に居たとの報告も上がっているが、真偽は不明。
「……このような報告を上げられてもね」
ソロモンは苦笑している。
「それはわかります。でも事実ですので」
兎田もそれに応えながら苦笑いを返す。
先日行われた春カエル駆除、少し考えてみたらおかしなことが多いと判断した兎田がソロモンに事実のみを報告した次第だった。
「繁殖期とはいえ20以上のカエルが密集するのは異常です。誰かが人為的に田んぼに集めたか、あるいは」
「何かから逃げ出した、か」
ソロモンはカエルが逃げるならヘビが相場だ、と軽口を叩く。
「ボクの言葉途中で奪わないでください」
異常事態の報告にも関わらず、普段と変わらない兎田にソロモンは苦笑を深める。
「では、戻ります。ミミさんは気付いていませんが、もしかしたらニンゲンさんを狙った可能性も考慮しておいてください。その時はボクが出ます」
兎田はハットとコートを着て部屋から出ていく。
「あの者を狙って、か。考えられないこともないな」
すっかりぬるくなった紅茶に口を付ける。
(彼の者の価値に気付いた者がいるという事か)
冷めてしまった紅茶は普段よりも苦く感じた。




