悪魔がウチにおりまして・184
ウチらは田んぼに居る。
そっかぁ、田んぼに出るのかぁ。
「まさか本当に来るとは思いませんでしたよ?」
牛はあきれ顔で私を見ている。
仕方ないじゃない!
こんな物騒なモノでカエル駆除って興味しかないじゃない!
「まぁ、構いませんが。なんかミミさんと上手くやっている理由がなんとなくわかってきました」
その言葉に悪魔と目を見合わせてしまう。
上手く、やっているの?
「ところで、ボクたちだけなのですか?」
確かに。
大発生と言っていたから人海戦術で駆除するものかと。
「要するに雑用ですから。まぁ、同じ給料で1日潰せるのでボクは好きですけど」
こーゆーちゃっかりしているところ、本当におじ……。
「ニンゲンさん、失礼な想像してますよね?」
ただし、勘はいい。
「ニンゲン、早く作業着に着替えるのですー」
悪魔はどこから取り出したのか、白い防護服のようなものを渡してくる。
なんと言うか、スズメバチ駆除に使いそうなアレ。
ひとつ違う点は、顔の部分が網ではなく、フェイスシールドになっているという事。
「カエル、だよね?」
「ニンゲンさん、こっちのカエル、見たことないんですね」
「……あー」
おい、2匹?
リアクションだけでヤバい現場に来てしまったことが分かるんですけど?
「ニンゲンさんなら生き残るでしょうけど。しかしミミさん、こんな良いモノを捨てようとしないでください」
「ですねー。フリマで売ればいいんですものね」
「売らんでください」
私の身の安全よりも槍の処分を話す2匹に少しイラっとしてます♪
「そんなヤバいなら私帰るよ」
「カエルだけに?」
牛、しばいたろか。
「ニンゲン……もう遅いですねー」
ずんっずんっと地響きがあたりに鳴り響く。
カエル、よね?
「言ってませんでしたよね、魔界カエル。小さいもので……えっと20メートルですね、ニンゲンさんの分かる単位だと」
「はぁ!?」
確かにもう遅い。
その20メートル強のカエルが跳ねてこっちに近付いて来ているのだから。
なぜわかるか?
デカすぎてまる分かりなんだよ。
「さて、ニンゲン。春の風物詩です!」
「冗談じゃないわよ!?」
……自宅のハードディスク、処分してくるんだった。




