悪魔がウチにおりまして・183
ウチには悪魔がいる。
そういえばそこそこ危なかった悪魔が。
「ニンゲンー。木はいつに捨てればいいですかー?」
皆で掃除をしていると悪魔がのんびりとした口調で聞いてきた。
「木?小さければ燃えるゴミに混ぜていいんじゃない?」
「なら、鉄はー?」
「小さければ不燃。大きかったら業者に引き取ってもらわないと」
「なるほどー。分解しなきゃですねー」
ふと、不安になってくる。
「悪魔、なに捨てるの?」
「コレ」
ひょいって持ち出したのは悪魔の身の丈ほどもある槍。
なんか紫の煙が立ち込めているし。
「刃と柄を分ければいいですね、ホウキみたいなものですし」
「待ちなさい、警察が来ます」
ホウキはホウキでも宝器の方でしょ、それ。
「でも、もう使ってなくて。部署が変わったせいで前線に出ることも無くなったのですー」
確かに職場が変わったのは知っているけど。
というか、昔はそんなものを使う仕事してたことに驚きだわ。
「そんな物騒なモノ、こっちに捨てないの。捨てたいんならあっちで捨てなさい」
使ってる物質明らかに鉄でも木でもないだろうに。
「むー。ヤギさんに聞いてみますー」
(ミミさん、それ捨てちゃうんです?)
どこからともなく、牛の声。
脳内に語り掛けてない?
「牛さんー。コレ、もう使わないのですー」
悪魔も動じることなく返事してるし。
この会話方法、デフォなのかな?
(それなら貰っていいです?ちょうど春の大発生に使いたくて)
「それなら後で届けますねー」
(送料は着払いで。住所はあとで)
それきり牛の声は途絶えた。
「大発生?なにに使うの?」
「田んぼにカエルが出るんです。その駆除に使うんですよー」
槍で?カエルを?
「……見に行きたいです?行きたいですよね?」
くぅ、悔しいけどちょっと見たい!
「牛さーん、労働力確保ー!」
おい、人を使う気か。
(誰ですー?)
「ニンゲンー」
(……ヤバないです?)
ねぇ、ヤバイの?ヤバいの??
「大丈夫ですー。お土産にお米渡すのでー」
(知りませんよー?)
そこで牛の言葉は途絶えた。
「ニンゲン、カエル狩りに行きましょう!」
ウチには悪魔がいる。
キラッキラな目をしている悪魔が。




