悪魔がウチにおりまして・182
「とある悪魔の黙示録。
ある日のこと、ニンゲン界に出没した悪魔はその類稀な能力から現地に居たニンゲンを誘惑。
その居城の権利を我が物にすると朋友を次々に招き入れる。
自分の配下に留まらず天の遣い、社の獣、門下虫など多岐に渡る。
そしてその先遣兵を統べる大悪魔の存在はニンゲン界に自らの駐屯所を構えるに至る。
社の獣を利用し、自らの居城造りの一端を担わせることで、周囲のニンゲンに怪しまれることなく居城を建造した。
ニンゲン界に居を構えた大悪魔は、更に領土を拡大。
土を支配する獣を傘下に加えニンゲン界で金銭を巻き上げると同時に、自らの虜とすることに成功。
土の獣の強力な遺物は、多くのニンゲンをかどわかし、捕縛していく。
この大悪魔の業績はここに留まることを知らない。
神界に侵入した際に神の1柱を虜とし、自らのめいれいを、聞く、ように、しました。うん、しました!
そうすることでこの大悪魔の勢力はさらに拡大を……」
「長い」
羊がずっとぶつくさ言っているのをこっそり聞いていたが我慢できなくなってはたいてしまう。
「ニ、ニンゲンさん!?いつからそこに!」
「ずっといたわ」
わざわざ人の家でやってりゃ突っ込まれても文句言えないでしょう。
「さっきから書いていたの、新しい小説?」
コイツ一応小説家の面もあるからね。
100%違う事わかっているけど、確認という名の弁明時間を用意してあげよう。
「報告書、ですね。一応ソロモンさんとは提携取引先になってますので」
あー、専務さん?
「ウソはいかんじゃろう」
「地味ーにウソではないのがミソですね」
真実とも言い難いけど、報告書それでいいの?
「神話なんて盛ったもの勝ちですから。ほら、モゼさんも別に海割ってないですし」
怒られるから……!方々から怒られるから……!
「しかし、こんな文章あの固そうな悪魔が信じるの?」
専務さん、結構厳しそうよ?
「大丈夫ですよー、送信っと」
送った、着信音。
「ソロモンさんです」
早くない?
『虚偽報告の場合、本社出向の後、査問会となる。このまま受理してよろしいか』
「どうしましょう……」
「書き直せば?」




