悪魔がウチにおりまして・181
ウチには……。ぴぃーひょろー。
思い出したように練習をするな!
とある休日に悪魔がいきなりオカリナを練習し始める。
そうは言っても別に昼間だし、問題は無いのだが。
「ミミ殿、上手くなりませんな」
狐、辛辣!
そう、思い出したように週に1回くらいしか練習していないので、上達するわけもないのだが。
「先生もいないからね、そりゃ独学なら上手くならないでしょ」
本人なりに必死なのだろうが、ちょっとやる、止めるを繰り返しているだけだからなー。
「メカクモ殿、ミミ殿にご教授できませんか?」
狐、聞く相手間違えてない?
「ほほう、オカリナですか」
畳から羊が生えてくる。
最近思ったんだけど、こっち住まいよね?
わざわざ不意を突くためあっち行ってから生えてきているの?
「私、オカリナにはうるさいですよ?」
いま私たちはオカリナがうるさいんですよ。
「楽器の練習には根気が必要です。なぜなら最初からできる者などいない、失敗前提の挑戦に……」
「ヤギ殿、某たちにではなく、ミミ殿に」
狐、もしかしてイラついてない?
「いえ。ただ、少しでも早くミミ殿に上達いただき、このふか……きちんと吹けるようになってもらえたらと」
いま追及してはいけない言葉を押しとどめたのにスルーしましょう。
「ミミ君!オカリナを始めたのですか!」
羊、その殺気を感じ取ったのか速攻悪魔に向かう。
「ヤギさん?そうなのです、どうやっても上手く吹けなくて」
悪魔珍しくしょげてない?
自分としてはちゃんと練習しているつもりなのかも知れないからなぁ。
「ふむふむでは……」
そう言いながら押入れを閉める羊。
ナイショ話かー。
途端、キレイな音色が響く。
なんでや!?
押入れの中から羊登場。
「や、ヤギ殿……魔法でも使いまちたか?」
狐だけじゃなくクモも、メカも、そしてうぱすら目を丸くしている。
メカ、目が丸くなってるの分かるの芸細かい。
じゃなくて!
「羊、なにしたの?」
「いえ、それは……」
「ヤギさん!素晴らしいです!こんなに簡単になるなんて!」
押入れの中から地雷子ちゃん登場。
……もしかして。
「ヒヅメで穴、ちゃんと押さえられるわけがないでしょう」
ウチには地雷子ちゃんがいる。
楽しそうにオカリナを吹いている女の子が。




